超立体映画
ゾンビ3D

監督:ジェフ・ブロードストリート

脚本:ロバート・ヴァルディング

出演:シド・ヘイグ、ブリアンナ・ブラウン、
ジョシュア・デローシュ、ジョアンナ・ブラック

ストーリー

 叔母の埋葬に参列するため、兄のジョニーと共に車で郊外の墓地にやってきたバーブは、そこで信じられない光景を目の当たりにする。死んだはずの叔母や墓地のあちこちから起き上がった無数の死者たちがゾンビと化し、人間を襲ってその肉を喰らっていたのだ。あまりの光景に言葉を失いパニックに陥るバーブ。逃げまどい、兄とはぐれてしまった彼女はバイクに乗った青年・ベンに救われる。近くで農場を経営する知り合いの家に避難したベンとバーブは、彼らの肉を求めて迫りくる無数のゾンビたちに包囲されながら恐怖と戦慄の一夜を過ごすことになる…。

レビュー

 ゾンビ3D」といっても「ゾンビ3」の立体版ではない。よって、ママのオッパイに齧りつくマイケルが立体で見れたり、ゾンビの投げた手裏剣が観客に向かって飛んでくる映画ではない。本作はゾンビ映画の元祖にして頂点とも言うべき「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の2度目…いや、3度目?のリメイク作品である。おまけに今回は3D映画である。しかし、赤と青のセロファンのメガネって、ちょっと時代に逆行し過ぎていやしないか?まぁ、その古臭さがちょっとグラインドハウス的な屑映画の香りを醸し出していて、結果的に屑映画だった本作と実にマッチしていたりもするのですが。

 ロメロゾンビ2作目のリメイクである「ドーン・オブ・ザ・デッド」では、登場人物を総とっかえしたり、ゾンビを猛ダッシュさせるなどの強引な力技でオリジナルとの差別化を図っていたが、本作でも数々の工夫が随所で見られる。道路を車が走り去っていくオリジナル版と瓜二つの冒頭部分にまず驚かされるが、実はそれはテレビの画面で放送してる映画が「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」だった…という意味不明なオチが付く。それ以外にも劇中でオリジナル版の映像が流されること多数。パブリックドメインであることを良い事にやりたい放題である。黒人ではなく白人のベンが車じゃなくバイクで登場したり、クーパーの娘が開始数分でゾンビにやられて退場したり、ジュディとトムがセックスしてるだけのバカップルだったりと、意表を突く展開のオンパレードだ。この改変っぷりは「死霊創世紀」の比ではない。むしろ、作品全体に漂う同人臭さから「フレッシュイーター」に近いものを感じる。

 後半の展開は完全オリジナルで、ロメロゾンビでやってはいけないゾンビ化現象の真相をアッサリと登場人物に語らせてしまっている。このあたりから作品のクオリティが急速に低下していき、ゾンビ事件の元凶であるシド・ヘイグがヒロインに襲い掛かってきて自分の家に拉致を決行するという実に陳腐な展開になる。その拉致されたヒロインがライターでちょこっと火を点けただけなのに物凄い勢いで延焼していくゾンビもツッコミどころの1つだろう。結末も救いがなくて絶望的というよりは、ただ単に収拾が付かなくなって投げ出してしまったように感じる。結局のところ、本作は原作の足元にも及ばないような駄作である。目玉の3D映像も、マリファナの煙がモクモクと観客に向かって伸びてきたりする心底どうでもいいシーンが多く、効果的に使われていたとは言い難い。もっと派手に臓物やらゲロやらを観客にぶっかけてくれればバカ映画として評価出来たのだが…。

 

  

オリジナル版の映像が随所で流れる。やりたい放題だな!

 

ライターの火如きでビビりまくるゾンビとシド・ヘイグ

 

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