“それ”がいる森

監督:中田秀夫

脚本:ブラジリィー・アン・山田、大石哲也

出演:相葉雅紀、松本穂香、上原剣心、
江口のりこ、眞島秀和、野間口徹、小日向文世

 

ストーリー

 田舎町にひとり農家を営む田中淳一は、元妻・爽子と東京で暮らす小学生の息子の一也が、突然ひとりで訪ねて来たのをきっかけに、しばらく一緒に暮らすことになる。ちょうどその頃から、近くの森では不可解な怪奇現象が立て続けに発生し、淳一が住む町でも、住民の不審死や失踪事件が相次いでいた。そんな矢先、淳一と一也も偶然得体の知れない“それ”を目撃してしまう。 淳一は一也の担任教師の絵里とともに、怪奇現象に巻き込まれていくが、それは未知なる恐怖の始まりにすぎなかった。

レビュー

 恐ポップホラー『事故物件 恐い間取り』が興行収入10億を超えるヒット作となってしまったので、ホラー監督としての力量に反して次から次へ仕事が舞い込む事態となってしまった中田監督による森ホラー。主演は嵐の相葉雅紀なのでまたもやジャニーズ案件である。事前プロモーションでは“それ”の正体が徹底的に隠されており、森に住むクマが『グリズリー』よろしく襲ってくるのではないか。いや、ひっそりと暮らす人食い一族の奇形三兄弟が相葉雅紀をオイルフォンデュにして食べちゃう『クライモリ』の日本版リメイクなのではないかと好き勝手に考察している間が実は一番楽しいタイプの作品であり、実際に公開初日に観た俺は死んだ目で劇場を後にした。

 “それ”の正体は開始30分足らずで山に墜落したUFOがデデーンと登場した時点で宇宙人だとあっさり判明するが、その宇宙人のデザインにしても一体何十年前の宇宙人のイメージなんだとツッコミを入れたくなるほどベタベタな宇宙人。M・ナイト・シャマランの『サイン』からの影響も感じられるが、何故今更『サイン』なのかはさっぱり分からない。恐らく中田監督の中で宇宙人ブームが来ているのだろう。この映画の宇宙人は人間の子供を食べて繁殖する設定となっており、そのため本作で犠牲になるのは小学生ばかり。必然的に物語の中心となるのも子供たちとなる為、今までの中田監督作ではあまり見られなかったジュブナイルホラーとしてのテイストが強い。しかし、「名無しの権兵衛さん」を連呼する『貞子』のいじめっ子描写を見れば分かる通り、この監督は現代の子供を描くのが致命的に下手であるため、宇宙人のヤバすぎる低クオリティCGと相まってまるで90年代のオカルトブームに作られたドラマを見ているかのようなノスタルジックな気分にさせられる。これが全て計算だとしたら大したものであるが恐らく本当にただの偶然なのだろう。

 相葉雅紀は小学生の息子を持つオレンジ農家という役柄であり、彼の育てているオレンジに感染していた細菌が宇宙人の弱点であることが判明すると、『GANTZ』のニノには負けてらんねーぜとオレンジ果汁を塗りたくった槍で宇宙人に立ち向かう。恐らく『宇宙戦争』オマージュなのだろうが、この辺りの展開は『事故物件 恐い間取り』同様の恐ポップテイストが強いので真面目に見ていると死にたくなってくる。しかし、そんな本作でも何故かヒットしてしまうのが安心と信頼の中田ブランドの恐ろしいところ。今度は橋本環奈とジャニーズWEST(またジャニ案件!)の重岡大毅を主演に迎えたホラー映画『禁じられた遊び』が2023年9月に公開される。予告を見るにまたしても恐ポップテイストを感じるものとなっており、ゆるホラーを連発する中田監督の快進撃はまだまだ続きそうだ。  

 

 

UFOが登場してガクーッとなる前半

 

宇宙人のクオリティは酷い。本当に酷い

 

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