GANTZ

監督:佐藤信介

脚本:渡辺雄介

原作:奥浩哉

出演:二宮和也、松山ケンイチ、
吉高由里子、本郷奏多、夏菜

ストーリー

 就職活動中の大学生・玄野計は、地下鉄のホームで幼馴染の加藤勝を見かける。正義感の強い加藤は、線路上に転落した酔っ払いを助けようとするが、手を貸した玄野と共に進入してきた電車に轢かれてしまう。次の瞬間、2人は見慣れぬマンションの一室にいた。そこには同じように死んだはずの人々が集められ、リビングの中央にはガンツと呼ばれる謎の大きな黒い球が異様な存在感を誇っていた。出ることの許されないその部屋で、ガンツは死んだはずの人々に生き残るためのミッションを与える。それは“星人と戦い、そして殺すこと”だった。戦いの場へと転送された彼らは、何者かも分からぬ異形の星人と対峙する。やがて戦いを終え部屋に戻るとガンツによる採点が行われる。星人を倒し得点を重ね、“100てん”になるとこの世界から解放されるか、好きな人を生き返らせることができると知らされ、元の世界に一時的に戻される。だが、“100てん”を取るまで戦いは終わらない。玄野は戦いに目覚め、生き抜くことを選択するが、加藤は暴力に支配された世界を嫌悪し、戦いを否定する。生と死を実感しながら、その不条理な世界での戦いは苛烈を極めていく…。

レビュー

 奥浩哉の人気コミックの映画化。死んだ筈の人間がマンションの一室に集められ、黒い球からの指令を受けて宇宙人狩りを強制されるというのが主な物語であるが、謎多きストーリーにシュールな造形の宇宙人、容赦なく繰り出されるバイオレンス描写など、連載中の原作漫画は見るべき点の多い作品であり、今なおヤングジャンプの看板作品としてその名を轟かせている。今回の映画化では相当な予算を掛けたようで、ガンツスーツの造形やXガンのギミックなどは原作のイメージそのままに再現。客寄せパンダの主演2人は置いておくとして、岸本恵と西丈一郎の配役は見事としか言い様がなく、よくもまぁここまでソックリな役者を見つけてきたなと感心してしまった。また、異形の存在である星人の再現度も異様に高く、近年の邦画のSFX・VFX技術の発展には目を見張るものがある。

 ねぎ星人ミッションでは“ガンツスーツを着るのが玄野ではなく岸本だったら”という原作とは異なったif展開が見れるのも面白いし、原作通りに繰り出される激しい人体破壊描写は二宮クン目当てで観に来たジャニオタをドン引きさせるには十分なインパクトを放っていた。田中星人ミッションでは星人の数が1匹に減らされているものの、何度倒れても執拗に起き上がってくるしぶとさを全面に押し出し、真っ先に老婆と児童を殺害する残忍さや、幾多のミッションを経験してきたベテラン選手の西までもがアッサリとやられてしまうゲームの過酷さも見事に再現されていた。さて、ここで大問題とも云えるのがおこりんぼう星人ミッションである。原作では2体の金剛力士像の戦闘から始まり、次々と動き出した境内の仏像との乱戦、いかにもボスキャラといった風貌の大仏を辛くも撃破したかと思ったら、実は真のボスだった千手観音の驚異的な強さに蹂躙されるメンバーという、畳み掛けるような絶望感溢れる展開が最大の見所である。千手の溶解液が直撃した岸本のグロテスクな死に様や加藤と千手の壮絶な相討ちなど、玄野1人残して仲間が全滅するショッキングな結末も印象に残るミッションであったが、残念なことに映画はこの衝撃を微塵たりとも再現出来ていない

 映画の尺の関係からか、襲ってくる仏像が3体のみなのは仕方がないにしても、手に持った複数の刀をガチャガチャ振り回すだけの千手の淡泊な攻撃方法は何とかならなかったのだろうか。長距離レーザーや溶解液といったスーツ無効の反則的な攻撃手段があってこその千手なのだが、これでは遠くからXガンで狙わずにノコノコ近寄って串刺しになって死んだ岸本や加藤がただのバカに見えてしまう。しかも千手との戦闘は途中でぶった切られ、唐突に現れた大仏がクライマックスを飾るし、重症を負ってる筈の玄野が元気に走り回って大仏を華麗に撃破するのも全く以て理解不能。挙句の果てにはちゃっかり生き残ってるメンバーまでいる始末。原作で感じた絶望感なんてものは皆無で、「何でそうなる?」という疑問が尽きない展開の連続になるのは原作とは別の意味でショッキングだ。大仏登場の唐突さに負けないぐらい唐突だった小島多恵の告白シーンも失笑モノで、この終盤に掛けての失速っぷりは映画全体のレベルを大幅に下げているといっても過言では無いだろう。

 

  

  死者が集められたマンションの一室。再現度高し     スプラッター要素の強いねぎ星人編はお見事

 

   

  一体しかいないけど田中星人の造形も及第点           だが千手観音、てめーはダメだ

 

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