クロユリ団地

監督:中田秀夫

脚本:加藤淳也、三宅隆太

企画:秋元康

出演:前田敦子、成宮寛貴、
勝村政信、西田尚美、田中奏生

ストーリー

 毒々しい色の花に囲まれたクロユリ団地。近隣の人々の間では「出る」と噂されるいわくつきのこの団地に、介護士を目指す二宮日香が何も知らずに家族と共に越してきた。数日後、明日香は隣室に住むひとり暮らしの老人が孤独死しているのを発見。さらに、団地で出会った寂しげな少年・ミノルとの交流から、次々と不可解な出来事に巻き込まれてゆく。それは彼女が味わう恐怖の幕開けに過ぎなかった…。

レビュー 

 中田秀夫監督による団地ホラー。企画に「着信アリ」「伝染歌」完全に味をしめた秋元康が関わっているので、ヒロインを元AKBの前田敦子が務めている。その時点で生ぬるいアイドルホラーの予感がぷんぷんしてしまうが、蓋を開けてみれば「怪談」以来、およそ6年ぶりにJホラーを手掛けた中田秀夫のブランクを感じさせないキレッキレの演出と、「呪怨 白い老女」の三宅隆太が手掛けた善人がひたすらヒドい目に合うだけのヒトデナシなシナリオ演技は下手だけど恐怖のあまり過呼吸気味になる芝居だけはやけに板に付いている前田敦子の魅力などが存分に味わえるという、貞子が3Dで飛び出てくるバカみたいな映画なんぞよりかは何億倍も楽しめるJホラーの秀作となっている。主人公らの抱える罪悪感に付けこみ、執着し続ける怨霊・ミノルのキャラが立っているのも成功の要因のひとつであり、少年の幽霊は例え白塗りでブリーフ一丁というインパクト重視な外見でなくとも、充分恐怖の対象になり得るという、清水崇の呪怨」に対する中田秀夫なりのアンサーとも言えるだろう。

 Jホラーのお約束として、呪いを掛けられ命の危険に晒されているヒロインとヒーローが、諸悪の根源である亡霊を成仏させるために奮闘するも徐霊に失敗、最後は結局ヒロインかヒーローのどちらかが犠牲になりバッドエンドという流れが確立されているが、本作のヒロインである前田敦子は中盤から腑抜け状態で受け身一方のキャラとなり、ヒーローであるはずの成宮寛貴も散々ヒロインに「それだけはやるなよ!絶対にやるなよ!と口をすっぱくして警告していた行為を自ら率先して行うというント同然の過ちを犯し、最期は「いやだ〜!」と物凄く情けない断末魔を上げながら惨めにフェードアウトする。こうした予定調和崩しも本作に於いては実に効果的に作用しており、「仄暗い水の底から」のクライマックスのような主人公の安っぽい自己犠牲で感動路線に急ハンドルを切らなかったところは大いに評価に値する。

 

ニャーニャー泣いてるだけの「呪怨」の敏雄なんてチョロイぜ

 

物凄く情けない叫び声を上げて死ぬ成宮君

 

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