怪談

監督:中田秀夫

脚本:奥寺佐渡子

原作:三遊亭円朝

出演: 尾上菊之助、黒木瞳、井上真央、
麻生久美子、木村多江、瀬戸朝香

ストーリー

 婀娜(あだ)な姿と芸が評判の富本の女師匠、豊志賀は、ある日、街筋で煙草売りの新吉とすれ違う。「またにしとくよ」と軽くいなす豊志賀だったが「やっぱりもらっておこうか」と新吉を呼び止める。煙草売りを口実に新吉は、豊志賀の稽古場に足繁く通うようになり、雪の降る夜、2人はついに男女の一線を越える。しかし、その後、2人に不幸が重なる。実はこの2人、親を殺された娘と、殺した男の息子という因縁の関係だった。

レビュー

 これぞ日本が誇るべきJホラーの傑作なのではないか。「リング」「仄暗い水の底から」で“女の恨みはコワイ(幼女含む)!”ということをイヤというほど観客に教えてくれた中田秀夫が、今度は江戸時代を舞台にして最高にコワイ女の究極の恨みを描く。ヒステリックな役を演じたら右に出るものはいない黒木瞳が「ダーク・ウォーター」のジェニファー・コネリーなんてファックユーですよとばかりに、劇中でひたすらにテンパり続けて精神を蝕んでいく姿には鬼気迫るものがある。黒木瞳演じる豊志賀は、顔に負った傷が次第に腫れ上がって死に至るのだが、その直後に映し出される彼女の死体の顔には傷など付いていない。劇中では言及されていないが、愛する男に捨てられるのではないかという不安に苛まれ、ありもしない腫れ物が見えてしまったということなのだろう。まさに黒木瞳にしか出来ない役であるといえる。その後、主人公の新吉に手渡される彼女の遺書が、「この後、女房を持てば必ずやとり殺す」という凄まじい内容のもの。この女の怨念も相当なものだが、これを読んで間もないのに速攻で井上真央とイチャつく主人公かなりのアホであるといえる。

 その後、新吉と関係を持つ女が次々と大変な目にあい、理不尽な死を遂げていくのだが、女だけではなく、その間に出来た赤ん坊までも犠牲になる辺りが実に容赦ない。それどころか、いきなり現れた悪女に弱みを握られてしまい、脅迫されて金をふんだくられる始末。というか、この瀬戸朝香が演じる悪女はかなり強烈なキャラクターで幽霊の黒木瞳よりもたちが悪い。こればっかりは流石に新吉に同情する他ない。結局、不幸街道を物凄い勢いで転げ落ちていって人生オワタ状態になった新吉は、豊志賀の亡霊に沼へと引きずりこまれてめでたく最悪の人生に終止符を打つことになる。ラスト、沼の上の豊志賀が満足そうに新吉の生首を抱くシーンは幻想的で美しく、このシーンだけでソーメン3杯はイケること間違い無し。怪談とソーメンは夏の風物詩ですから。

 ところで、皆さんは6人のホラー監督が競い合うJホラーシアターなる企画があったのを覚えているだろうか。「感染」 「予言」の2本立ての後に清水崇の「輪廻」が公開されて以来、それ以降新作の話題がパッタリと出なくなったが、どうやら黒澤清の「叫」が第4弾で、本作がその第5弾にあたるらしい。Jホラーシアターのレーベルは外されたものの、ちゃんと新作が作られているのは嬉しい限り。残すは高橋洋の作品だけになるが「発狂する唇」みたいなのは勘弁してくださいね。

 

 

凄い顔しながら血ノリを吐く黒木瞳

 

  

凄い顔しながら逆さ吊りになる井上真央

 

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