伝染歌

監督:原田眞人

脚本:羽原大介、原田眞人

企画・原作:秋元康

出演:松田龍平、大島優子、秋元才加、
小嶋陽菜、前田敦子、阿倍寛、伊勢谷友介

ストーリー

 昼下がりの学校で、突然の自殺を遂げた女子高生、香奈。その場に居合わせた同級生のあんずは、その瞬間、香奈が不気味な歌を口ずさんでいるのを聞く。時を同じく、三流風俗雑誌の編集部員の陸と太一らは、歌うと死ぬという“伝染歌”の噂を独自に調査、あんず達との接触をはかる。しかし、関わった者全てに迫る“死の影”は仲間達を確実に死へと導き始め、いつしかあんず自身にも迫ろうとしていた―。

レビュー

 「ホラー映画なのに全く怖くない」「AKBのアイドル映画」と、ネットでの評判が散々だった、秋元康の「着信アリ」に続くメロディホラー。「リング」のビデオを歌に替えただけの安易なアイディアだが、実際に観てみると、本作はホラー映画でも、ましてやアイドル映画などでもなく、単なるバカ映画だということが分かる。それも、かなり笑える部類のバカ映画である。そもそも、開始数分で脈絡無くAKB48のライブを見せられるのだから、普通のホラー映画の筈が無い。主軸となる“伝染歌”を巡る話はちっとも面白くないが、事件を追う“月刊MASACA”の編集部員が、松田龍平を筆頭に演技なのか素なのか判別不能なくらいにイカれた人間ばかりなので、彼らの狂いっぷりを見ているだけで十分楽しめる。特に、遊人がモデルガンショップの店員に知的障害者のフリをしながら接触するシークエンスは、色んな人に怒られそうだがとりあえず笑わせてもらった。

 また、演出も大いにふざけていて、いきなり映画の時間が13分前に戻ったり(しかも大して戻った意味が無い)、かと思えば早送りで女子高生たちがチョコマカ動き出したり、後半で主人公達を救う為に現れたエンマ様と呼ばれる霊能力者のオバサンが、食ってる途中のカップラーメンをいきなり放り投げてスープがスローモーションで宙を舞い、部屋の隅にいたCGの妖怪にバシャっと掛かるシーンなど、この監督はハナっからホラー映画なんて作る気は無いようだ。その傾向は登場人物の台詞にも顕著に見られ、借金の取立て屋が作家の男(ヒロインの父)の部屋に落ちてる原稿を見つけるや否や「これは俺の大好きな大好きなスティーブン・キング先生のパクリじゃねーか!」と具体的すぎる罵声を上げたり、爆弾を背負った女子高生達が「そんじゃ死んだら靖国に集合ね」と熱く誓い合った矢先に、その中の1人が「やすくに…?スーパーマーケットですか」と大ボケをかましたりと、シリアスで重くなりがちなシーンを緩和するかのような台詞が実に秀逸である。

 同じ自殺をテーマに扱った「自殺サークル」に比べたら色々とヌルくてお子様向けの印象を拭えないが、自殺という行為そのものの滑稽さを強調して暗に自殺を批判する作風や、連鎖自殺の原因について明確な答えを提示しない点など、両作に共通する部分は多い。それと「自殺サークル」同様、劇中で使用される自殺ソングがとても印象深い。「僕の花」は、仕事帰りでヘトヘトになった電車の中で聞きたい曲ナンバー1である。

 

 

AKB48のライブシーンは必要だったのだろうか?

 

 

いきなり現れるフルCGの妖怪。もはやホラーでは無い

 

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