マンハッタン・ベイビー

監督:ルチオ・フルチ

脚本:ダルダーノ・サケッティ、エリザ・リヴィア・ブリガンティ

出演:クリストファー・コネリー、ブリギッタ・ボッコリ、
マーサ・テイラー、ジョヴァンニ・フレッツァ

ストーリー

 考古学者のハッカー教授はエジプトのピラミッドを調査中、遺跡内部で不思議な光線を浴びて失明してしまう。同じ頃、教授の娘スージーは、迷路のような町で母親とはぐれ、盲目の老婆から目を象った奇妙なメダリオンを手渡される。一家がニューヨークに戻ると、ハッカー教授の失明は一時的な症状と診断され、視力も回復の兆しを見せ始めるが、その頃からスージーの周囲で不可解な事件が続くようになる…。

レビュー

 エジプトからニューヨークに持ち帰った怪しげなペンダントのせいで地獄への入口が開くぞ!大変だ!と何だかよく分からないけど大騒ぎとなり、何だかよく分からないけど人間が物凄く変な死に方をしていく要するにいつも通りのフルチ作品『地獄の門』『ビヨンド』も、何なら本作の8年後に撮る『ルチオ・フルチの新デモンズ』も大体同じ話であり、一体この爺さんは地獄の入口を開けることにどれだけ熱心なんだと感心してしまうが、悲しいことにこのテーマの作品で世間的に評価されているのは『地獄の門』『ビヨンド』だけである。その理由はやはり常軌を逸した残虐描写の有無の差であろう。『ルチオ・フルチの新デモンズ』にも豪快な股裂きがあったじゃないか!と思う人もいるかもしれないが、『地獄の門』における数々のゴアシーンと比較すると股裂き1回では全然弱い。脳天ドリル1発分と対等にするにはあと4人くらいの股を裂かないと!

 本作にいたっては股裂きすら無いので、ルチオ・フルチ作品に残虐性を求めている人にとっては極めて辛い作品となっている。どうも最初のエジプトのシーンで予算を使いすぎてしまい、本来やりたかったことが出来なかったという話もあるが、それにしても本作の恐怖シーンは肩透かしにもほどがある。一家の少女に古代エジプトの邪神が憑依しているらしいのだが、そこから『エクソシスト』みたいな話になるのかと思えば別にそういうわけでもない。子供部屋の扉が異空間に繋がる『ポルターガイスト』的な展開もあるが、部屋が砂まみれになるだけで特にそれ以上の怪異が描かれない。マンションのエレベーターの底が抜けて物語に全然関係のない人物が無駄に命を散らすシーンには度肝を抜かれたが、『ビヨンド』の硫酸顔面溶解シーンと対等にするにはあと9台くらいのエレベーターの底が抜けないと駄目なのである。

 しかしファビオ・フリッツィのメインテーマ曲は相変わらず神がかっており、おまけに過去のフルチ作品から一部スコアを流用していたりするので、耳で楽しむ分には最高の作品だといえる。鑑賞中は静かに目を瞑り、予算の関係で削られであろう数々のゴア描写に思いを馳せながらフリッツィのスコアに耳を傾けてみるのも乙な楽しみ方であるといえよう。

 

ほんのり『エクソシスト』感!

ほんのり『ポルターガイスト』感!

 

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