海棲獣

監督:スチュワート・ジラード

脚本:ロックン・S・オバノン

原作:ピーター・ベンチリー

出演:クレイグ・T・ネルソン、キム・キャトラル、
ジャンカルロ・エスポジート、クレス・ウィリアムズ

ストーリー

 眠るように静かで平和なカリブの島に突如巻き起こった連続殺人。その犠牲者全てが無残に噛み裂かれ、人々は人食い鮫の仕業かと恐れおののく。だが調査を命じられた海洋生物学者が導き出した結論は、人類の想像を凌ぐ未知の生命体の存在だった。

レビュー

 「ジョーズ」のピーター・ベンチリーによる小説を映像化したTVムービーであるが、日本でビデオリリースされた際は3時間ある物語の半分近くをズタズタにカットされ、タイトルも「DNAV」になってしまったという悲しい過去を背負う作品。ちなみに「DNA」とは「獣人島」のリメイクである「ドクター・モローの島」を更にリメイクした映画の邦題であるが、とち狂った日本のビデオ会社がこれを勝手にシリーズ化してしまいとりあえず遺伝子操作が絡んでる話には何でも「DNA」の題を付けてリリースしてしまうという物凄い事態を生んでしまった。一応、全部説明しておくと、「DNAU」は「プレデター」をパクった低予算SFホラーで、「DNAW」はクーンツ原作の「ウォッチャーズ」シリーズの4作目、「DNAX」は80年代に公開されたロジャー・コーマン製作の半魚人ホラーモンスター・パニック」のリメイクである。要は1作目以外はモロー博士とは微塵も関係の無いシリーズなのだが、実はそれがそうでも無くて、忘れた頃にリリースされた最新作の「DNA リローデッド」は何と「ドクター・モローの島」をベースに館を舞台にしたチャールズ・バンド監督によるC級ホラーです…もう好きにしてくれ。

 後に完全版がDVDでリリースされた本作であるが、「ジョーズ」のような海洋パニックで3時間はちょっと…と尻込みしている人にこそ観てほしい作品である。丁寧に描かれた島民の織り成す人間ドラマは見ていて楽しいし、次々と犠牲者を出している生物の正体が、どうやら普通のサメでは無いということが徐々に明らかになっていく展開は非常にサスペンスフルである。タネを明かしてしまえば、本作に登場するモンスターはただのホオジロザメではなく、サメとイルカと人間の遺伝子を悪魔合体させた軍の生物兵器なのだが、このクリーチャーの造形を担当しているのが、何と「ジュラシック・パーク」のような大作から、「クライモリ」のようなゲテモノまで幅広く仕事をこなしているSFX界の神、スタン・ウインストンなのである。お粗末なCGではなく、しっかりと作り込まれた着ぐるみでノッソノッソと地上を練り歩く手足の生えたサメのビジュアルインパクトは相当なものであり、このキモカッコいいクリーチャーが派手に大暴れする見せ場が劇中で3回ほど用意されているのもサービス精神に溢れていて、3時間という長さを感じさせずに最後まで楽しませてくれる。サメ映画の中では相当な異端児かと思わせておきながら、実は物凄く丁寧に作られている優等生な作品である。

 

「ポルターガイスト」のお父さん役の人が主人公

 

歩くサメがとにかくキモカッコいい

 

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