モンスター・パニック

監督:バーバラ・ピータース

脚本:フレデリック・ジェームズ

製作総指揮:ロジャー・コーマン

出演:ダグ・マクルーア、アン・ターケル、
ヴィク・モロー、シンディ・ワイントローブ   

ストーリー

 鮭漁で栄えてきた港町で次々と不可解な事件が勃発。調査に乗り出した漁師のジムとドレイク博士は、事件の背後に謎のモンスターが潜んでいることを発見する。その正体は、急激に成長を促進させた遺伝子操作の鮭を喰ったため突然変異を起こした魚類だった!

レビュー

 ロジャー・コーマンがスティーブン・スピルバーグの「ジョーズ」に便乗して製作した「ピラニア」が予想以上のヒットを飛ばしたため、この機を逃してなるものかと再度ビッグウェーブに乗っかって製作された半魚人の暴れまわる海洋パニックもの。当初は「ピラニア」のジョー・ダンテが監督を引き続き続投する予定であったが、多忙を理由にそれを辞退したため、新鋭女性監督のバーバラ・ピータースが抜擢された。しかし、ピータースが撮影した映画はコーマンの求めるエロやグロが皆無のお上品で真面目過ぎる内容だったので、 第二班監督のジェームズ・スバーデラッティがレイプや人体破壊といった主にゲスい場面全般を追加撮影させて再編集し、映画はコーマン尊師ご満悦の超悪趣味モンスター巨編となったのだ。

 突然変異したシーラカンスが二足歩行で浜辺を歩き回り、水着の美女は裸にひん剥いて強引にレイプ、野郎連中は問答無用に頭をもぎ取ってぶっ殺すという男尊女卑の観点から言えば完全アウトな内容ながらも、序盤で極力クリーチャーの姿を見せない「ジョーズ」の丸パクリ演出の末に全貌を現す半魚人のインパクトが大変素晴らしく、後に「遊星からの物体X」で本格的な才能を開花させるロブ・ボッティンの手掛けた生理的嫌悪感溢れる造形は今見ても全く見劣りすることはない。銃や銛で呆気なく死んだり、か弱そうな女性に石で撲殺されたりと、個体としての能力は決して驚異ではないものの、海草とヘドロまみれになった脳ミソ剥き出しの半魚人が次から次へと襲ってくる様はゾンビ映画にも似た気色の悪さを感じさせてくれる。

 なお、特殊造形担当のボッティンは同時にスーツアクターも兼務しているので、本作で裸の女性の上に覆い被さってヘコヘコと腰を振っているのはボッティン自身であるということも決して忘れてはならない。また、本作の音楽を担当したのは、後に「タイタニック」でアカデミー賞を獲得するジェームズ・ホーナーである。本作における楽曲は聴いていて睡魔が襲ってくるような単調きわまりないものばかりであるが、スコアの一部は流用だらけの映画でお馴染みの「ジュラシック・シティ」にもしれっと流用されている。いつの時代も、地道な下積みの積み重ねが、後に大きな仕事を掴むチャンスになるということをコーマン映画は我々に教えてくれるのだ。本作のブルーレイディスクが我が国で発売された2018年、奇しくもギレルモ・デル・トロ監督による中年女性と半魚人のファンタジーラブストーリー「シェイプ・オブ・ウォーター」がアカデミー作品賞を受賞した。強姦と和姦の違いはあれど、デル・トロよりも遥かに早く半魚人と人間の性交を描いたコーマンは、もしかしたら先見の明があったのかもしれない。

 

 

女性をレイプする半魚人の恐怖!

 

ちなみに男は問答無用でぶっ殺される

 

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