鮮血の美学

監督:ウェス・クレイヴン

脚本:ウェス・クレイヴン

出演:デヴィッド・ヘス、ルーシー・グランサム、
サンドラ・カッセル、フレッド・リンカーン

ストーリー

 コンサートを見にニューヨークに行ったマリーとフィリスはクルッグら脱獄囚4人組に拉致されてしまう。一行は湖のほとりでフィリスをナイフで殺害し、さらにはマリーをレイプし射殺する。その後、クルッグらは旅行者を装い近所の家に泊めてもらうが、奇しくもそこはマリーの家だった。マリーがクルッグらに殺害された事を知った両親は自らの手で、クルッグらに復讐していく。

レビュー

 「13日の金曜日」のショーン・S・カニンガムが製作、「エルム街の悪夢」のウェス・クレイヴンが監督と脚本、更に編集助手という若干パシリっぽいポジション「13日の金曜日 PART2」「PART3」のスティーヴ・マイナーの名前まであるという、後にスラッシャー・ブームを牽引していくことになる若き殺人映画アベンジャーズが集結して作られた悪意の塊のような極悪作品。何の罪も無い女性が、ひたすらチンピラどもにネチネチと嬲られる極めて不健全な内容から激しく賛否の別れる映画ではあるが、鑑賞中に「こんな映像を見続けていて、果たして大丈夫なのだろうか」と意味もなく不安にさせられるという点では「悪魔のいけにえ」と同質の背徳感が味わえる70年代を代表するキチガイ映画の傑作といえよう。

 都会に遊びに出た田舎娘2人が逃亡中の脱獄囚に拉致監禁されてしまい、パンツを履いたままの排尿や、2人とも裸にひん剥かれてレズプレイを強要されたりする前半部分はひたすらにシンドく、ヒロインが恥辱の限りを尽くされている最中に彼女の両親が楽しそうに誕生日パーティの準備をするシーンを平行して描いたり、脱獄囚を追う警官コンビが何故か「ホット・ファズ」ばりのズッコケポリスとしてコミカルに描かれており、切迫した状況なのにも関わらず笑えないコントを延々見せられたりと、こちらの神経を逆撫でする悪意のある演出がやたらと多い。隙を見て逃亡を試みた友人は奮闘空しく捕まりナイフでメッタ刺しにされ、友人の死に茫然自失のヒロインも容赦なく強姦されて身も心もズタボロになり、湖に身を沈めて自ら死を選ぼうとするが、それに見かねたチンピラにより射殺されてしまう。この時点で既に見ているこちらの精神は限界に近いが、この映画の先はまだまだ長い。

 何の因果なのか、チンピラたちが宿泊場所として転がり込んだのがヒロインの家で、何も知らない両親は彼らをもてなすが、メンバーの1人がヒロインのネックレスを所持していたことで、全てを察した夫婦は娘の仇討ちを決意。しかし、これがちっとも爽快でなく、母親は色仕掛けで犯人を誘い込み、フェラチオを装って相手のチンポを噛み千切るし、親父は完全に狂人の形相でチェーンソーを危なっかしく振り回す。そこにカタルシスなどは一切生まれず、娘の死で完全に頭がおかしくなった夫婦の悲痛な姿のみが観客の心にズッシリと重くのしかかる。カニンガムとクレイヴンのその後のホラー映画界での活躍は説明するまでも無いが、彼らは2度と本作のようなテイストの作品を手掛けていない。あの2人がどうしてここまで病的なスラッシャーを作ったのかは永遠の謎である。

 

このシーンに興奮した人は怒らないから手を挙げなさい

 

親父、怒りのチェーンソー。殺れ!殺っちまえ!

 

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