死霊のはらわた

監督:フェデ・アルバレス

脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス

出演:ジェーン・レヴィデビッド、シャイロー・フェルナンデス、
ジェシカ・ルーカス、ルー・テイラー・プッチ

ストーリー

 山奥の不気味な小屋を訪れたミアたち5人の男女は、その小屋で禁断の「死者の書」を発見し、死霊を甦らせてしまう。姿なき死霊に憑依され豹変したミアは、仲間たちに襲い掛かる。死霊によって閉ざされた山から出ることも助けを呼ぶことも出来ずに、次々に憑依されていく若者たち。彼らに生き残る術はあるのか…。

レビュー

 スプラッター映画史に残る大傑作のリメイクであるが、「死霊のはらわた」は既にサム・ライミ自身の手により「死霊のはらわた2」としてセルフリメイクされてるといっても過言ではなく、もっと言えば山小屋で若者が大変なことになる「死霊のはらわた」イズムを継承したホラー映画は「キャビン・フィーバー」やら「キャビン」やら、舞台こそ山小屋ではないもののストーリーがそっくりな「スローター」など、とにかくオリジナルをパロった映画は無数に存在しており、そんな中で今更本家をリメイクすると聞いた時には思わず「正気か!?」と叫びそうになった。おまけにメガホンを取るフェデ・アルバレスは今でこそ「ドント・ブリーズ」の人だが、当時はどこの馬の骨とも分からない無名監督。正直、観賞前は不安しか無かったが、いざ蓋を開けてみれば見事な「死霊のはらわた」の現代的な再構成になっており、関係者の皆様に色々とごめんなさいしたくなる大傑作であった。

 リメイクにあたってストーリーの大幅な設定変更があり、最初に驚かされるのは若者が山小屋に訪れる動機だ。単なる遊び目的で完全に不要不急の外出だったオリジナル版と違い、本作では薬物依存症のヒロインを更生させるために彼女の兄や友人らが、人里離れた山小屋へと集う。そのせいか、お気楽なムードが漂っていたオリジナル版の冒頭部分とは正反対に映画のトーンは初っ端から重苦しく、この先ろくなことにならない不穏な感じがプンプンするところがホラー映画的にまず素晴らしい。おまけに序盤で起こる怪奇現象の多くがヤク中であるヒロインの視点からしか描かれないので、他の登場人物はおろか観客にさえも「全部コイツの幻覚なんじゃね?」と思わせてしまうところが実に上手い。ここまで来るとオリジナルとは完全に別物の映画にすら感じてしまうが、怪しげな本に書かれていた呪文を読み上げてしまったことが全ての発端だったり、取り憑かれた妹をやむなく地下室に閉じ込めるくだりはオリジナル版を踏襲。当時のライミが現場の思い付きで撮影したという妹が木のツタに犯されるエロゲ展開も最高に悪趣味な形でリメイクされており、要所要所でツボを押さえているのがニクいと言える。

 オリジナル版の大きな魅力だった「過剰すぎてむしろ笑える流血描写」であるが、本作はそれを「体験したことないけどギリで痛みが想像出来る描写」へとシフトチェンジさせた結果、少しも笑うことの出来ない凄惨なゴアシーンが随所で展開されることになる。注射器による顔面滅多刺しや、カッターナイフでの舌真っ二つ、バールの殴打で滅茶苦茶になる手の指といった、スプラッター慣れしている人間でも目を背けたくなるような惨劇が次から次へと起こるが、そんな中でも「死霊のはらわた2」でアッシュが自分の腕を切り落とすシーケンスをリメイクした場面は何と劇中で2回も存在しており、おまけにどちらも女性キャラがそれをやっているので、鬼畜度は本作の方が圧倒的に上。というか、91分の映画で女性が自分の腕を切断するシーンが2回もある映画なんて本作ぐらいなものだろう。賛否が分かれるだろうが、オリジナル版のユーモアを全面的に排除し、泣く子も黙るガチホラーへと方向転換させたことに関しては個人的に賞賛を送りたい。

 

あの伝説的名場面をリメイク!このエロ・アルバレスめ!

 

いってええええええ!!!!と叫びたくなる腕切断シーン

 

 

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