キャビン

監督:ドリュー・ゴダード

脚本:ジョス・ウェドン、ドリュー・ゴダード

出演:クリスティン・コノリー、クリス・へムズワース、
アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ

ストーリー

 小さな山小屋の入り口は、世界の破滅につながっていた―。
夏休みに山奥へとバカンスへでかけた大学生5人。古ぼけた山小屋の地下で見つけた謎の日記を読んだ時、何者かが目覚め、一人、また一人と殺されていく。 しかし、その裏に若者たちが「定番のシナリオ通り」死んでいくよう、すべてをコントロ­ールしている謎の組織があった。 その組織の目的は?若者たちの命は?―その先には、世界を揺るがす秘密が隠されてい­た。

レビュー

 本作はホラー映画のお約束を逆手に取ったメタフィクション映画だ。山小屋に遊びに来たバカっぽい若者グループが、地下室のボロい本を読んでしまったことによりゾンビを呼び起こしてしまい…というストーリーは「死霊のはらわた」のリメイクかと思うほどそっくりであるが、実は彼らの行動は全て謎の組織によってモニター監視されていた。途中、彼らが立ち寄ったガソリンスタンドの親父も組織の人間であり、ホラー映画にありがちな「バカな若者に警告をする怪しげなジジイ」を演じていたのだ。

 組織はありとあらゆるホラー映画のお約束を再現する為に奮闘する。森にいるカップルにはセックスしたくなるよう森の温度を上げてエロくなるフェロモンを放出。ゾンビが倒されたら困るので、登場人物が単独行動をするように頭がバカになるガスを散布。ビッチやジャンキーはなるべく早く、そして残酷にぶっ殺すように仕向けるが、処女っぽいヒロインは最後まで生き残るのがセオリーなので執拗に命を狙ったりはしない。ちなみに、今回襲ってくるのはゾンビであるが、地下室には他にもパズルボックスを含む様々なホラーアイテムが存在しており、登場人物がどのホラーキャラを復活させるかを賭けるギャンブルが組織内で行われていたりするのがバカバカしくも面白い。

 組織の目的はとにかく登場人物が残酷にぶっ殺されるように仕向けること。何故そんなことをするのかというと、それらは全て古の神に捧げる為の生贄の儀式なのだという。我々が目にしていたホラー映画は全て現実に起こったことであり、全部彼らが裏で操作をしていたのだ。組織は各国に存在しており、その中でも驚異の成功率を誇るのが日本。そう、「呪怨」を始めとするJホラーは大抵登場人物が全滅するからである。モニターには「リング」の貞子みたいな凶悪な怨霊が小学校を襲撃している映像が流れているので今回も安心だろう、とアメリカチームも高を括っていたら、何と貞子風の怨霊は小学生グループに倒されてしまった。Jホラーの多くは全員が死亡するバッドエンドだが、「学校の怪談」のようなジャリ向けホラーに限ってはお化けが封印されてハッピーエンドを向かえるのがお約束なのだ!ちなみに生贄の儀式が失敗すると世界が破滅するので、残されたアメリカチームの責任はかなり重大である。

 終盤はもう、ホラー映画好きならスタンディングオベーションしたくなる展開の連続だ。終始ハッパを吸っていたジャンキーキャラが、実はメチャクチャ頭の回転が早いヤツだったようで、何と自分達が組織に監視されていることを見抜いてしまう。ヒロインと共に組織のアジトへと侵入をした彼らは、「やられたらやり返す…倍返しだ!」とばかりに、誰でも押せそうなところにあるボタンひとつでクリーチャー集団を解き放つ。キング・コブラやウルフマン、「ヘル・レイザー」のピンヘッド、「シャイニング」の双子に「IT」の殺人ピエロ、半魚人といった、過去の様々なホラー映画のモンスター、殺人鬼が大挙として研究員に襲いかかる夢のようなシーンが続き、ラストは何と組織のボスとしてシガニー・ウィーバー登場という「宇宙人ポール」と全く同じ展開になり、いよいよ収拾が付かなくなったところで古の神が復活。世界が崩壊して物語が終わるのだ。

 とにかくホラー映画が好きであればあるほど楽しめる、ホラー映画好きへのプレゼントのような素晴らしい映画であるが、本作が登場してしまったことにより、この先どんな恐ろしいホラー映画が現れても「キャビン」的な視点で観ることによって途端にコメディに変わってしまうという点では、ある意味反則技というか、それをやったらおしまいだろう的な作品でもある。ラストの終わり方からして続編は無理だろうが、是非ともアメリカチーム以外の視点から描いた番外編も見てみたい気もする。

 

無念。日本チーム大失敗の図

 

ホラーキャラが大挙として現れる夢のような展開

 

 

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