ゾーン・オブ・ザ・デッド

監督:ミラン・コニェヴィッチ、ミラン・トドロヴィッチ

脚本:ヴコタ・ブラヨヴィッチ 

出演: ケン・フォーリー、クリスティーナ・クレベ、
エミリオ・ロッソ、アリアドナ・シャブロル

ストーリー

 インターポールの捜査官レイエスは、引退前の最後の仕事として、囚人を乗せた護送車の警護を請け負うことになる。ロンドン行きの飛行機が出るベオグラードまでの道中、石油施設や化学工場が乱立するパンチェボ工業地区にさしかかったころ、護送車はいきなり暴徒と化したゾンビたちに襲われてしまう。近くの警察署に逃げ込んだ一行だが、外部との通信ネットワークは完全に遮断されていた。レイエスが電力を復活させるため発電機を探しに行っている間にも、ゾンビに噛まれた仲間の捜査官たちが次々に発症してしまう。これ以上警察署はもたないと判断したレイエスは、護送車に乗せていた囚人と新人捜査官ミーナと共に、ゾンビを列車の中に誘い込み生き残っている民間人を逃がそうとするが…。

レビュー

 ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」でSWAT隊員を演じ、そのリメイク作である「ドーン・オブ・ザ・デッド」でも牧師の役でカメオ出演したケン・フォーリーが主演を務めた世にも珍しいセルビア産のゾンビ映画。この手の内輪ネタ全開な映画は、暴走族リーダーのトム・サビーニが無意味に登場していた「チルドレン・オブ・ザ・デッド」でかなり痛い目を見たが、ゾンビ映画のゾの字も知らないようなド素人が脚本を書いたアチラに比べれば、本作は物語の随所に作り手のゾンビ愛が感じられ、まさにゾンビ映画マニアが作ったゾンビ映画マニアの為の作品といった印象である。

 ケン・フォーリーは数々の修羅場を潜ってきた歴戦の捜査官の役で、引退前の最後の仕事として囚人護送の警護を引き受けるが、護送の最中に某ゲームのラクーン・シティばりにゾンビが蹂躙跋扈する超危険地帯に足を踏み入れてしまった。辛うじて警察署に逃げ込んだ捜査官らは、護送中の囚人と協力してゾンビ軍団と絶望的な戦いを繰り広げるという、ジョン・カーペンターの「要塞警察」、または「ゴースト・オブ・マーズ」をバリバリに意識しまくった展開は、籠城戦に燃える男の子なら無条件に興奮してしまうことは間違いなし。更に素性や経歴は一切不明だが、銃の扱いがとんでもなく上手い囚人のキャラはモロに「プラネット・テラー」のエル・レイ(手錠の鎖と一緒にゾンビの眉間を撃ち抜く同様の技あり)で、セルビアという国にもゾンビが大好きで堪らない変態がいるんだなと嬉しくなってしまう。

 勿論、ケン・フォーリーが主人公だけに「ゾンビ」のパロディもある。生存者の1人が「ショッピングモールに行けば安全じゃないか?」という提案をするが、ケン・フォーリーはそれを「無駄さ、すぐにヤツらが来る」と全力で却下。どう考えても過去の経験から物を言っているとしか思えない。他にも、ゾンビの大群を前にしたケン・フォーリーがボソっと「昔、近所に住む頭のイカれた男がこう言っていた。“地獄がいっぱいになると死者が地上を歩きだす”って」と、どういうわけか昔の自分を狂人扱いしているシーンもファンなら爆笑間違いなし。

 ただ、物語の作りとしてはかなり粗い。クライマックスのゾンビとの乱戦に雪崩れ込む展開は呆れるほど強引だし、謎の護送囚人とはまた別の謎の男が突然現れてロケットランチャーで大暴れする展開は本当に謎。伏線は全て投げっ放し状態なので、細かいことが気になって仕方が無いような人間は鑑賞を避けた方が吉である。また、ケン・フォーリーが昔に比べて激太りしているのも深刻な問題の1つで、メタボっ腹を揺らしながらゼエゼエと息を切らしアクションをしている姿は、ショッピングモールでゾンビを避けながら華麗に疾走していたSWAT隊員のピーターからは見る影もない。あの頃の素敵な思い出を壊したくないという人も観ない方が吉。

 

 

「ゾンビ」のピーター再び!…ってだいぶ太ったな、アンタ

 

終盤の強引なゾンビ乱戦への展開が楽しい

 

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