ネ申アイドル
総選挙バトル

監督:白石晃士

脚本:白石晃士

出演:安藤成子、川村りか、鈴木ありす、
相多愛、川村えな、夏木楓、宮下ちはる

ストーリー

 落ちこぼれアイドルグループ「放課後プリティ生徒会」のメンバーが、秋葉原の劇場でのライブ中に何者かに誘拐される。その後、配信先不明のネット中継に映し出されたのは、禍々しい首輪を付けられたメンバー達。そして謎の男の進行によって始まった「ネ申アイドル総選挙バトル」。それは、メンバーそれぞれが中に自己アピールをし、視聴者の投票によって1位を決める総選挙。1位になればソロでトップアイドルに君臨、票数が少なかった者には凌辱と死が待っている。1人、また1人と脱落(死)していく中、可憐なアイドル達のあられもない姿と激しい本性が剥き出しになっていく。この総選挙を生き残り、“ネ申アイドル”の称号を得るのは一体誰だ?!

レビュー

 熱狂的なファンを持つフェイクドキュメンタリーの「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズや、誰がどう考えてもギャグになりそうな題材を超大真面目なホラー仕上げてみせた「貞子vs伽椰子」など、近年Jホラー界での活躍が目覚ましい白石晃士監督が手掛けたデス・ゲーム作品。アイドルグループを物語の主人公にしているという点では、シロメ」と共通点があるが、本作は監督の得意とするモキュメンタリーでも無ければ、出てくるアイドルも「放課後プリティ生徒会」という名の架空のアイドルグループである。

 ライブに集まるオタクは僅か数人、掲示板にスレッドが立てば閑古鳥の鳴く底辺地下アイドル放課後プリティ生徒会のライブ会場が何者かに襲撃され、怪しげな場所へと拉致されたメンバーは、江野祥平と名乗る男の指示により理不尽なゲームを強要される。そのゲームはネットを通じて配信されており、視聴者の投票数によってメンバーの生死が左右されるというシステムである。彼女たちの首には爆弾の内蔵された首輪が装着されており、逃げようとしたり反抗的な態度を取ったりすると江野によって容赦なく起動されてしまう。非常に分かりやすい「バトル・ロワイアル」のパクr…パロディーであるといえよう。

  しかし、肝心のゲーム内容といえば、電気の流れる棒を掴みながら自己紹介しろだとか、熱せられた鉄板の上で持ち歌を一曲歌えだとか、レイプされたくなければセクシーポーズ取り続けろといった超くだらないものばかりであり、おまけに電流のエフェクトが今時そりゃねえだろというレベルの代物なのに加え、視聴者というかぶっちゃけ俺が見たかった肝心のレイプシーンが全然映らないというクソゲーっぷり。最後のゲームでようやく残ったメンバーによる殺し合いが行われるが、それもやはり期待したようなゴアシーンは見せてくれずにお約束通りヒロイン1人が生き延びて呆気なくゲームセット。…と、ここまでなら記憶の片隅にも残らないような陳腐な低予算ホラーとして埋もれてしまうところであるが、実はここから前代未聞のどんでん返しが展開され映画の印象が180度変わることになる。

 ゲーム終了後、主催者である江野祥平が突然登場し、自分はエノックス・エンタープライズという会社の社長であることを明かす。そして、実はこのゲームでは誰も死んでいないことをカミングアウト。次の瞬間、今まで死んだと思われていた放課後プリティ生徒会のメンバー全員がステージにずらっと集合し、「わたしたちは生きてまーす!」と笑顔で手を振る。江野は、才能はあるけど芽の出ないアイドルグループを大々的に売り出すためにこのフェイク番組を企画したのだという。そう、電流ビリビリ自己紹介のエフェクトがショボイのも、鉄板で足の裏を大火傷してるはずなのに意外とピンピンしているのも、肝心のレイプシーンが映らなかったのも、実は全部伏線だったのである。虚構の中のリアリティを追及し続けるモキュメンタリーの巨匠・白石監督ならではの大胆なオチであるといえるが、これを撮ったのが全然知らない監督だったら普通に窓からDVDをぶん投げていたことであろう。

 ちなみに、江野祥平は「オカルト」や「殺人ワークショップ」にも登場する白石作品におけるキーマンであり、エノックス・エンタープライズは「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」の制作会社という設定である。他作品同士で巧妙に繋がっている面白さも、白石作品の人気の秘密なのだろう。

 

  

電気の流れる棒を掴みながら自己紹介!まぁ、演技なんですけどね  熱した鉄板の上で歌って踊れ!まぁ、熱くないんですけどね

 

  

   最後は殺し合い!まぁ、全部台本通りなんですけどね   「全部ウソでした!これからも応援お願いしまーす!」あ、はい…。

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