ミュータント・ゾンビ・
オブ・ザ・デッド

監督:ジョン・“バッド”・カードス、マーク・ロスマン

脚本:ピーター・Z・オートン、マイケル・ジョーンズ

出演:ウィングス・ハウザー、ボー・ホプキンス、
ジョディ・メドフォード、リー・モンゴメリー

ストーリー

 ジョシュとマイクの兄弟は休暇で南部の町へ出かけた。ところが町は大きく変貌しており、大部分の住民が死んだか、行方不明だという。 2人は怪しい有毒廃棄物汚染との関係を調べるが、マイクまでが行方不明になってしまう。町の住民全員が、夜な夜な人を襲い食料とするゾンビに変化していたのだった!

レビュー

 知る人ぞ知る1984年製作「ミュータント・人類改造計画」が2011年のDVDリリースにあたってタイトルがミュータントした作品。どっかの新世紀アニメに出てくる特務機関が極秘裏に進行させていそうな「人類改造計画」という全然内容に沿っていない最初の邦題もデタラメであるが、「ミュータント・ゾンビ・オブ・ザ・デッド(直訳:死者の突然変異体ゾンビ)」という今回のタイトルも、タコが吐き出したイカ墨のイカ墨パスタみたいな感じでクドい上に全く以て理解不能。どうせなら「ミュータント・ゾンビ」か「ミュータント・オブ・ザ・デッド」でシンプルにまとめた方が良かったような気もするが、今更ここで何を騒いでもアホみたいな邦題でリリースされてしまったという残酷な現実は永久に変えることが出来ない。人間とは無力な生物である。

 タイトルは無茶苦茶であるが、内容は古き良き80年代の雰囲気が存分に味わえるB級ゾンビ映画だ。前半はアメリカ南部に生息するキチガイ見本市のような人たちが都会から来た善良な兄弟を理不尽に襲う「悪魔のいけにえ」ライクな不条理ホラー、そして後半は化学工場が垂れ流した産業廃棄物の影響でゾンビと化した住民が都会から来た善良な兄弟を理不尽に襲うゾンビホラーと、1本の映画で南部キチガイとゾンビが同時に味わえる実にゴージャスな仕様の映画となっている。

 人間を襲う理由が血液の摂取の為だったり、光に弱かったりする本作のゾンビは、どちらかというと吸血鬼に近いのかもしれないが、青白い顔で群れをなして襲い掛かる様は完全にロメロスピリッツを継承しているし、何がどう作用してそうなるのかは不明だが、体から高熱を発生出来るという設定も面白い。登場人物が車に乗っていたらゾンビに囲まれていた!というゾンビ映画にはお約束のシチュエーションも、ゾンビが指先から高熱を発して窓ガラスを溶解させながら乗っている人間を襲うという他のゾンビ映画では絶対に見られない超斬新なビジュアルが拝めてしまう。

 他にも、小学校のトイレを埋め尽くす児童ゾンビの大群や、「サンゲリア」を彷彿とさせる火炎ビンを使用しての緊迫感タップリの籠城戦など、ゾンビ映画ファンの琴線にビンビンと触れる名シーンが満載で、そんじょそこらの便乗ゾンビ映画とは一線を画す出来。主人公クラスの登場人物や、幼い子供が実に呆気なく犠牲になる意表を突いた物語の運びも退屈させず、ふざけた邦題以外は非の打ち所のない作品である。

 

小学校のトイレで児童ゾンビに襲われるヒロイン。超不気味

 

手でガラスを溶かすのがミュータントゾンビのジャスティス!

 

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