デモンズ’95

監督:ミケーレ・ソアヴィ

脚本:ジャンニ・ロモーリ

出演:ルパート・エヴェレット、フランソワ・ハジー・ラザロ、
アンナ・ファルチ、ミッキー・ノックス

ストーリー

 死者が無条件で甦る墓地。孤独な墓守青年フランチェスコは、相棒のナギと共に日夜ゾンビ狩りを続けていた。そんな彼の前に、ミステリアスな未亡人が現れる。彼女とフランチェスコは互いの喪失感を埋めるように体を重ね合うが、彼女は墓場から這い出てきた夫のゾンビに噛まれ、自らもゾンビとなるとフランチェスコに噛みついた。

 その日以来、フランチェスコの中で現実と虚構が錯綜する。死神に唆され、殺人を繰り返す日々。だが、不思議なことに彼の殺戮に気付く者はいない…。そして、死んだ筈の彼女が別の女性となり、次々と彼の前に現れ始める。全ては精神を病んだフランチェスコの幻想なのだろうか?

 全てを放棄し、フランチェスコはナギを連れて街の外へと出発する。だが、トンネルを抜けた先は断崖絶壁。ブレーキを踏んだ瞬間、ナギは頭部を強打し、息絶える。悲しみに暮れながらも、ナギに銃口を向けるフランチェスコ。沈黙の後、ナギは何事も無かったように起き上がり、家に帰ることを提案するのだった。

レビュー

 イタリアの人気コミック「Dellamorte Dellamore」の映画化なのだが、悪魔も関係無ければ製作も94年なのにも関わらず何故か邦題は「デモンズ’95」という支離滅裂っぷりが素晴らしい。こんなトンチキな邦題ながらも、中身は本家「デモンズ」よりも遥かに出来が良かったりするのだから、ますますランベルト・バーヴァが哀れで仕方がない。

 ストーリーは驚くほどシュールである。特に理由も無く死者が甦る世界を舞台に、現実と幻想とが次第に交錯していく。これだけ聞くと「バージン・ゾンビ」のような見る人を恐ろしく選ぶ作品を連想してしまうが、登場人物たちが全員魅力的に描かれているので、意外にも睡魔が襲ってくることは無い。ゾンビの頭を撃ち抜く仕事を淡々とこなす無気力そうな主人公、夫の眠る墓場で平然とセックスする女、好きな娘にゲロぶっかけて愛情表現するキモ可愛いデブなど、一癖も二癖もありそうな輩が揃っているのが嬉しい。

  対するゾンビ側も、体から草木を生やしてる奴がいれば、バイクに跨って華麗にロケットジャンプかます奴もいたり、チェロの音色に合わせて優雅に這いずり回る生首がいたりと、死体なのに生き生きしている連中(凄い矛盾)が勢揃い。これだけでも十分楽しませてくれるのだが、更にソアヴィ監督の異常とも言える映像美が全編を彩っているので、もはやゾンビ映画の域を脱した一種の芸術作品と言っても過言ではないだろう。特に、ラストシーンの退廃的な美しさは筆舌に尽くしがたい。一見の価値アリである。

 

普通、墓場でそんなことはしません

 

外の世界は無かったけど、生きてて良かったね

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送