SFコンクエスト
魔界の征圧

監督:ルチオ・フルチ

脚本:ジーノ・カポーネ、ホセ・アントニオ・デ・ラ・ローマ

出演:ジョージ・リヴェロ、アンドレア・オキビンティ、
サブリナ・シアニ、ヴィオリータ・セラ

ストーリー

 地球から遥か彼方にある惑星は、暗黒の魔術を使うオクロンによって征服されつつあった。しかし、若者イリアスは先祖代々に伝わる黄金の弓矢を武器に、たった1人でオクロンに立ち向かうことを決める。人間の首をいとも簡単にひっこ抜く鋼の兵士、毒蛇や数々の凶悪な罠によってイリアスを待ち受けるダンウィッチ、そして地獄の底から蘇って来たゾンビの数々。果たしてイリアスは、オクロンを倒し、世界を救うことは出来るのか!?

レビュー

 これはゾンビ映画じゃないだろ!というお叱りを受けそうだが、ただゾンビが出てくるだけという理由で「ルチオ・フルチの地獄の門2」をゾンビ映画のカテゴリに入れてしまった手前、本作を紹介しないわけにはいかないのである。シュワルツェネッガー主演の「コナン・ザ・グレート」のヒットを受け、「あんな感じの映画を1本頼む!」と依頼されたフルチ爺さんが渋々メガホンを握った作品が本作であるが、爺さん自身もヒロイック・ファンタジーというジャンルをどう扱って良いのか分からず、とりあえずいつものノリでやってみた結果、フルチ映画の中でも屈指の珍作が誕生してしまったことでも知られる伝説の映画である。

 物語のフォーマット自体は、黄金の弓矢を託された青年が悪の支配者を倒すべく仲間と共に旅を続ける王道ファンタジーの体裁を取り繕ってはいるが、悪の支配者は大蛇を体に巻き付けた全裸の女だし、その手下のチューバッカみたいな連中も冒頭から善良な村人の頭蓋を切断し、女性の足を引っ張って股を裂くなどといった豪快なオーバーキルをかましてくるので、これが普通のファンタジー映画ではないことに早々に気付かされる。他にも、毒矢を食らって瀕死状態の主人公の体から蟲が湧くシーンを執拗な長回しで描写したり、どう考えても出る映画を間違えてる「サンゲリア」タイプの乾燥肌ゾンビが襲ってきたりと、フルチにしか撮れないような展開・場面が頻発するのがマニアにとっては嬉しいポイント。

 主人公らが道中でピンチに陥る時は毎回パターンが決まっており、何故か必ず寝込みを襲われて窮地に追い込まれるものの、すったもんだの末に解決するパターンが天丼ギャグのように何度も繰り返される。物語のテンポが悪いのに加え、画面は終始うすぼんやりとしたソフトフォーカスなので、ドぎついゴアシーンが随所にあるのにも関わらず映画全体の印象としては物凄く牧歌的。しかし、睡魔に負けてウトウトしていると、主人公が首を切断されて途中退場してしまい、まるでこちらの寝込みをフルチが襲うようなメタフィクション展開が唐突に訪れるので全くもって油断ならない作品なのである。その後、残された相棒が死んだ主人公の灰を体に塗りたくり、見事悪の支配者を退治することに成功するものの、支配者は何故かオオカミに変身して逃亡。何やら含みを持たせた結末なので、フルチの灰を体に塗った勇者が現れて続編を作ってくれることを願うばかりだ。 

 

お前は「サンゲリア」にでも出てろ!

 

まさかの主人公死亡!!

 

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