ルチオ・フルチの
 地獄の門2

監督:ルチオ・フルチ

脚本:ピエロ・レニョーリ

出演:カリーナ・ハフ、パスカル・ペルシアーノ、
デュリオ・デル・プレト、ロレンツォ・フラハーティ

ストーリー

 まだ40代前半という若さでジョルジオが奇怪な死を遂げた。葬式に参列した人々の脳裏には彼との様々な思い出が蘇る。火葬にされることなく土の中へ埋められたジョルジオの死体だったが、うら若き10代の娘・ロージーには、墓の中からの父の声が聞こえてくる。「誰が何のために自分を殺したのか?」 父の地下からの呼び声に応えるべく、真相を追究しようとするロージー。それと時を同じくして、彼女の回りの人々は、悪夢と呼ぶにはあまりにも生々しい恐怖に次々と襲われるのだった…。

レビュー

 「地獄の門」とは全く関係の無いルチオ・フルチ晩年の作品。全盛期の勢いを失ったフルチの映画はどれも目も当てられないくらい酷い作品ばかりであるが、本作も御多分に漏れず酷い。ジャンルはホラーというよりは推理サスペンスなのだが、脚本を書いているのが脚本があるとは到底思えなかった「ゾンビ3」「ナイトメア・シティ」のピエロ・レニョーリなので、恐ろしく穴だらけなミステリーを延々と見せられることになる。そもそも話の発端が既に狂っていて、遺産目的で血縁者に殺された親父がテレパシーで娘に犯人探しを依頼するなんて、いくらフルチでも無茶苦茶過ぎるのではなかろうか。

 ミステリーとしてはホステス探偵危機一髪以下の代物であるが、遺族の見る様々な悪夢のシーンは全盛期のフルチの才能をほんの少しだけ感じさせるものが多く、やはりフルチは腐ってもフルチであった。納骨堂から出られなくなった男が無数のゾンビに襲われるシーンは妙にアバンギャルドなBGMと相まって最高の名場面になっているし、中でも目玉焼きの目玉が人間の目玉になってしまう夢は本作最大の目玉ともいえるだろう。これらの悪夢は墓の下の親父が見せているのか、はたまた腹に一物抱えている血縁者の自罰意識によるものなのかは不明だが、単にフルチが「エルム街の悪夢」をやりたかっただけのような気もする。

 あと、お世辞にも頭が良さそうに見えないヒロインが中々真相に辿り着けずにチンタラしていると、墓の下で眠る蛆虫まみれの親父の顔がアップになって「いいから早く犯人を見つけてくれ!」みたいな台詞が入るのは悔しいが爆笑してしまった。この“頭の回転の悪い娘に焦りまくる親父のシーン”は劇中に3回ほどあり、おまけに回を重ねるごとに親父の腐敗が進行して蛆虫の量も増えていくので、最後の方は見るも無残なグチャグチャドロドロな顔で「やばいやばい早く早く」と超必死に犯人探しを急かしてくる。誰がどう見てもギャグなので、多分フルチもウケ狙いでやっていると思われる。

 

 

目玉焼きの目玉が人間の目玉になる本作最大の目玉

 

「早く犯人見つけてくれ〜!」と焦りまくる親父

 

 

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