富江
BEGINNING

                    

監督:及川中

脚本:及川中

出演: 松本莉緒、今宿麻美、
水橋研二、森下能幸

ストーリー

 ある日、川上富江が転校してきた時から、クラス中の空気が一変する。男子生徒たちが富江の魔性に引き込まれたかのように、彼女の虜になってしまう。そんな彼らの強烈なまでの富江への愛がやがて殺意に変貌し、鋭利な刃物で襲い掛かり彼女の耳を切り落としてしまう。しかし、切り落とされた耳が足を持った蟲のように動き回るのを目撃した玲子は、富江は人間ではないことを確信する。クラス中に充満した富江への殺意は、遂に彼女をバラバラに切り刻むという凶行に駆り立てる。しかし、それは更に訪れる悪夢のプロローグでしかなかった。

レビュー

 変態映画「富江 最終章‐禁断の果実‐」でシリーズも打ち止めかと思いきや、今度は1作目の及川中監督が再びメガホンを取り、何事も無かったかのように富江はスクリーンに復活を果たした。及川監督自ら1作目の前日譚を描くということで、そこは当然、1作目のヒロイン・泉沢月子が記憶を失う原因ともなった3年前の事件(原作「写真」のエピソード)をやるのかと思いきや、何と1作目冒頭でビニール袋を見つめてニヤけていた水橋研二演じる男が過去に巻き込まれた事件の話だった。その時点で全く興味を持てないが、映画の中身も自主製作レベルの出来で、及川のやっつけ仕事を堪能できる作品になっている。

 原作の最初のエピソードをようやく実写で見られるのはファンにとって嬉しいが、目に余るほどの低予算っぷりが気になってしまい、全く映画に入り込めないのは致命的と言っても良い。例えば、狂気に駆られた男子生徒にナイフで切り落とされた富江の耳が地面を這っていくシーンも、ゴム人形に糸を付けて引っ張ってるだけの稚拙な仕掛けを自信満々にアップで写してくる。低予算でも監督の演出次第で面白い映画が出来るものだが、そんな話はこの映画とは到底無縁である。ただ、予算は無くてもユーモアを飛ばす余裕だけはあるのか、富江を襲う3人組の男子生徒が何故か全員三度笠を被っていたり、教師がいきなり座頭市ばりの殺陣で富江を惨殺したりと、本気で意味の分からないギャグシーンが突拍子もなく登場して、観客の脳神経をいたずらに混乱させる。

 富江を演じた松本莉緒の小悪魔的な演技は実にハマり役だったが、肝心の映画がコレでは本人も報われないだろう。及川の得意技であるゴキブリネタも今回はイマイチだし、原作で屈指の名シーンだった、富江を解体していく狂気の課外授業も、もっと悪趣味に演出できた筈。水橋が富江の心臓をビニール袋に入れて去っていくラストは1作目冒頭に繋げたつもりなのかもしれないが、1作目で水橋がビニールに隠していたのは富江の生首なので、全然辻褄が合っていない。オマケにこのシーン、画面の右上に思いっきりカメラのガンマイクが写っているのだが、スタッフは誰もこのことに気付かなかったのだろうか…。

 

 

  地面を走る富江の耳!糸付けて引っ張ってるだけ      原作で印象深い富江解体授業もチープに再現

 

 何故か座頭市顔負けの殺陣で富江を惨殺する教師     1作目の冒頭に繋がるラスト。右上、マイクが写ってる

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