富江 最終章
-禁断の果実-

監督:中原俊

脚本:藤岡美暢

出演: 宮崎あおい、安藤希、國村隼、
渡辺哲、藤本由佳 、二宮綾香

ストーリー

 25年前の若い頃、富江という名の美少女に魅せられたことを忘れられず、娘に登美恵と名づけた橋本和彦。娘・登美恵は殻に閉じこもりがちな、所謂いじめられっ子の高校生だった。そんな登美恵の前に、左目の下にほくろのある少女が現われる。美少女は富江と名乗った。富江の奔放な振る舞いに惹きこまれる登美恵。2人が友達となるのに時間はかからなかった。ある日、和彦は家に遊びに来た富江とばったり出くわす。それは、25年前の富江そのひとだった…。

レビュー

 ロリータとレズビアンがテーマの異色作で、数ある「富江」シリーズの中で最も変態度の高い作品。富江役は「顔泥棒」で顔を泥棒された安藤希。割と原作のイメージに近い顔立ちをしているので、全シリーズ中で一番しっくりくる富江役だったのではないかと思う。ただ、演技が腰砕け気味なのはマイナス。可哀相だが、喋らなければ完璧に富江だった。これまで、富江が虜にするのは男性のみであったが、今回は宮崎あおい演じる気弱な女子高生・登美恵を虜にし、「アンタってホント変態だよね」といった言葉責めや、指を強制的に舐めさせるプレイ、ベットに縛り付けて目隠しした挙句に放置プレイなど、ホラー映画とは思えないほどの危険な世界を次々に展開する。NHKの大河で主役張ってた篤姫様も、昔はこんなB級映画で化け物女に弄ばれていたのかと思うと色々と感慨深い。

 ところでこの女子高生、何で登美恵(トミエ)なんて名前なのかというと、実は國村隼演じる彼女の父親・和彦が学生時代に富江にベタ惚れしてしまい、生まれてきた娘にまで富江と同じ名前を付けてしまったから。父親も富江と再会し、「お父さんはトミエがいるだけで良いんだ」と登美恵に嬉しそうに語りながら死んだ妻の仏壇を燃やすシーンは実に上手い。親子2代に渡り富江の虜になる話は、原作の「毛髪」編をベースにしているのだろうが、この映画は完全に監督が趣味の世界に走ってしまっている為、最終的には「富江」シリーズとしては異色の結末を迎えることになる。

 娘を守る為、和彦は斧で富江を殺害。ついでに首も切断して川に捨てるが、あくまで富江LOVEな登美恵は生首を探し出し、その生首と一緒に愛の逃避行を開始する。「キャビア食わせろ」だの「銀行強盗してこい」などといった数々の無茶振りに付き合わされながらも、生首だけの富江を必死に介護する登美恵だったが、徐々にグロテスクな変貌を遂げる富江に嫌悪感を抱いてしまった登美恵は、彼女をビルの上から突き落とす。ところが、やはり不死身の富江は復活を果たし、和彦を虜にして登美恵を製氷会社の冷凍室に閉じ込めるのだが、和彦は意図的に冷凍室の設定温度を上げていたのだ。和彦は富江と共に駆け落ちし、一命を取りとめた登美恵は、現場に残っていた富江の肉片から新たな友人を作り出すことを決意して物語は爽やかに締め括られる。富江の存在によって、生きる希望を失っていた父娘が、見事再生を果たすのである。

 イトジュンの原作漫画とは全く違う場所に着地してしまった作品であるが、生首だけの富江から小さい手足の付いた芋虫状の胴体が生えてきたり、そんな気色の悪い生物を「カワイイ〜」とナデナデしながら大真面目に世話する登美恵など、原作の持つブラックユーモアはきちんと映像化しているのがニクイところである。ところで、タイトルに「最終章」とあるが特に深い意味は無く、何事も無かったかのように「富江」シリーズは続々と増殖を続けている。

 

 

  富江に惹かれていく女子高生を宮崎あおいが好演       親交を深める2人は、ついにこんなことまで…

 

       生首だけになっても友達だよね!              こんな姿になっても友達…だよね?

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