遊星からの物体X

監督:ジョン・カーペンター

脚本:ビル・ランカスター

原作:ジョン・W・キャンベル・Jr

出演:カート・ラッセル、A・ウィルフォード・ブリムリー、
T・K・カーター、デビッド・クレノン、キース・デビッド

ストーリー

 舞台は、1982年冬、南極にあるアメリカ観測基地。男性12人の観測員からなるチームが、宇宙から飛来し10万年以上も雪の中に閉じ込められていた異星生物を発見する。その生物は凍結状態から解き放たれると、姿形を変えて観測チームの一員になりすまし、恐怖と戦慄を巻き起こすのだった。

レビュー

 4才の時に観た「遊星よりの物体X」がきっかけで映画監督を志すようになったと語るカーペンターが念願叶って手掛けることになったリメイク作。前作を大いにリスペクトしつつも、今回は原作通り他者に成り済ます物体Xをロブ・ボッティンのゲロゲロな特殊メイクにより完全再現。犬のドタマがバックリ割れる衝撃的なシーンに始まり、超気持ち悪い解剖シーン、首がビチブチビチィッッ!と糸を引きながらちぎれた後に蜘蛛みたいな足がビシバシ生えてシャカシャカ歩いていくシーンなど、CGに見慣れたゆとり世代が見たら小便撒き散らして逃げ出すことは間違いなし。

 誰を信用して良いのか分からない、絶望に彩られた物語の中で、唯一無二の魅力を放っているのが主役のカート・ラッセルだ。チェスゲームで負けた腹いせにコンピューターにウイスキーを注ぎ込んでショートさせてしまう程のバカであるこのキャラは、前作のオツムの足りてない軍人連中からカーペンターが影響を受けたことは想像に難しくない。科学的な知識があるワケでもないので、仲間が物体Xかどうかを見分ける方法も、物体Xは見た感じ血液も生きてるっぽいから、採取した血液に熱した針金を押し付けて熱から逃げ出したら物体X認定!というスッゲー雑な方法。しかし、思い付きで実行したこの検査が実は効果大で、血液がピギャアッと飛び跳ねるシーンには誰もが腰を抜かして驚いた筈。その後、テンパって火炎放射器を点火させることの出来ないラッセルにも笑えるし、血液一滴で生存し続ける物体Xを何の躊躇いもなくダイナマイトで吹っ飛ばす豪快過ぎる行動もバカを通り越して男らしさを感じてしまう。吹雪の中、全てを諦めたかのような表情で人間か物体Xか判別不能な生存者と共に酒を飲み交わすラストシーンには退廃的な美しさが感じられ、未だかつてこんなに格好良いバッドエンドの映画を私は知らない。

 

CGなんてクソ喰らえだぜ!

 

悲鳴を上げる血液にド肝を抜かれるカート・ラッセル

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送