遊星よりの物体X

監督:クリスチャン・ナイビー

脚本:チャールズ・レデラー

原作:ジョン・W・キャンベル・Jr

出演:ケネス・トビー、マーガレット・シェリダン、
ロバート・コーンスウェイト、ダグラス・スペンサー

ストーリー

 アラスカの科学研究所は、謎の飛行物体が落下し磁力計が狂っていることを発見する。司令部から到着したヘンドリー大尉は、キャリントン博士から報告を受け、スコット記者らと共に落下地点に向かい、一部分を除き氷に埋もれた円盤を発見する。氷から掘り起こすためにテルミット爆弾を使用するが、爆破と共に円盤に引火、円盤は爆発し飛散する。ガイガーカウンターが反応する辺りを調べると氷の中に人のような「物体」が確認できた。ヘンドリー大尉たちは、氷ごと「物体」を掘り出し基地に持ち帰る。その後、倉庫に運び込まれた「物体」の監視役バーンズ伍長が怪しい影に襲われる。ヘンドリー大尉の一行が倉庫を調べに行くと、溶けた氷には人型の跡が残っていた。「物体」は外の犬を殺し逃走して姿を消した。キャリントン博士は犬に噛み千切られた残骸の一部を調べ、「物体」が遊星より飛来した植物組織生物で、動物の血を吸って成長し、知力と腕力は人類より優れた怪物であることを突き止める。残骸の一部は成長する速度が速く、人類の脅威となる「物体」だった。

レビュー

 ジョン・W・キャンベル原作のSFホラー小説「影が行く」を映画化した最初の作品。他生物の細胞を消化吸収し、その生物に擬態する恐るべきモンスターは1951年当時の技術では表現不可能だったので、本作では物体Xを普通のハゲたオッサンが演じている。設定も大幅にアレンジし、他生物の血液を養分にして成長する吸血鬼のような生物として描かれている。人間が猿から進化したように、植物から進化を遂げたという物体X。犬に襲われて腕を食いちぎられても、血液を摂取すればすぐに再生できる恐るべき能力を持っているが、登場人物からは「野菜人間」だの「ニンジンの親戚」だの散々なあだ名を付けられた挙句、「野菜だから炒めたり茹でたりしたら倒せるんじゃね?」という安易な思い付きで火を放たれ、リンチみたいに囲まれながら灯油をバッシャバッシャ浴びせられ火だるまにされる。ここまで来るとさすがに物体Xが可哀想で仕方がない。

 だが、その何とも言えない間の抜けた空気こそが本作最大の魅力だと思う。氷の下にある宇宙船を引き上げる為に爆薬を仕掛けたのにうっかり宇宙船ごと爆破してしまったり、部屋の温度を下げる為に何の躊躇いも無く窓を叩き割ったり、氷漬けの物体Xと目が合ったら怖いので上から布を掛けたら実は電気カーペットで氷が溶けて物体Xが復活してしまったりと、登場人物のオツムの足りてない行動の数々には爆笑させられるし、そんな彼らが疑心暗鬼にとらわれることも無く、一致団結して物体Xに立ち向かっていく熱い展開は、その後のリメイク作では絶対に味わえないカタルシスがある。恐怖を感じることは出来ないが、カーペンター版を観てグッタリ疲れてしまった後に鑑賞すると何だか幸せな気持ちになれる作品である。

 

野菜人間は人間の血液で増殖する!

 

 

リンチに合うニンジンの親戚こと物体X

 

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