悪魔のいけにえ
レジェンド・オブ・レザーフェイス

監督:キム・ヘンケル

脚本:キム・ヘンケル

出演:レニー・ゼルウィガー、マシュー・マコノヒー
トニー・ペレンスキー、ジョー・スティーヴンス

ストーリー

 プロムパーティーを抜け出した4人の高校生が自動車を走らせていると、衝突事故を起こして相手のドライバーが重症を負わせてしまった。彼らは助けを求める為に森の中にある一軒家に辿り着くが、そこには恐るべき殺人鬼一家が住んでいるのであった…。

レビュー

 1作目でフーパーと共に脚本を手掛けたキム・ヘンケルが監督を務めたテキサスキチガイ見本市の第4作目。フーパーの悪ノリ全開ブラックコメディやジェフ・バーの何だか煮えきらない続編を見て、「お前ら全然分かっちゃいねえな!俺がお手本見せてやるよ!」と言ったかどうかは定かではないが、謎多き「悪魔のいけにえ」という物語に対するキム・ヘンケルなりの解答が見られるというのが本作最大のポイントである。冒頭で1作目のチェーンソー事件と、2作目、3作目を思わせる“2つの事件”に触れたテロップが申し訳程度に流れるが、2作目と3作目が同一世界上の話とは到底思えないので、ここはあまり深く考えず1作目の続編兼セルフリメイクとして楽しむのが正解といえる。メガネっ娘の冴えないヒロインをレニー・ゼルウィガー、イケメンのキチガイをマシュー・マコノヒーが演じるという豪華絢爛な配役であるが、何とマシューは後にセレブな力技でこの映画の権利を買い取り、封印してしまったという話だ。恐らく本人的には抹消したい過去なのであろう。

 プロムパーティーを抜け出したティーンエイジらをメインキャラクターにしている点が、いかにも90年代ホラー的な味付けであるが、彼らが行き当たりばったり的にテキサスのド田舎に足を踏み入れた辺りからはいつも通りの物語が展開される。1作目同様に極力抑えられた流血描写に加え、背中フック刺し、窓突き破り、脳天ハンマーでビクンビクンなどの名場面を再現。最後は勿論、獲物に逃げられたレザーフェイスによるチェーンソーダンスであるが、これらは全てヘンケル流の過剰かつセンスの無いアレンジが加えられており、1作目の殺人現場に居合わせてしまったような生々しい恐怖には全く結びついていない。特に酷いのがソーヤー家の晩餐であり、1作目より更に狂わせよう狂わせようとマシューを筆頭とする役者全員が一丸となって青筋立てて力みまくった結果、単にキチガイがギャーギャー喚いているだけの騒々しい食卓になってしまっている。つくづく1作目とは奇跡の産物であったということを思わせる作品である。

 そして、ヘンケル流に解釈したソーヤー家の真実とやらが完全に蛇足な上に、1作目の恐怖をも台無しにする恐るべき核爆弾であったことも無視出来ない問題のひとつである。この際なのでネタバレも辞さず書いてしまうが、1000年以上も前からソーヤー家のバックには政府関係の秘密組織が絡んでおり、組織にとって邪魔な人間を殺害するのにソーヤー家が暗躍していたというのだ。テキサスで頭のおかしい家族が人知れずに淡々と殺人をしているというのがこのシリーズのキモでもあったのに、そいつらが政府御用達の殺し屋だったとなると、それはもう完全に別次元の恐怖である。ヒロインが連行された病院で登場する薬漬けにされたマリリン・バーンズの姿も、ヒロインのその後が暗示されていて恐いといえば恐いが、オリジナルの再現を狙うのであれば、レザーフェイスからの逃亡が成功した時点で綺麗にスパっと終わらせるべきであった。そんなモヤモヤする付加要素の後にいつものチェーンソーダンスを見せられても、こちらのテンションは一向に上がらない。数ある「悪魔のいけにえ」の続編の中でもワーストに位置する作品であると断言出来る。

 

 

騒がしくすりゃ良いってもんでもない!

 

 

1作目のサリーも登場。随分とお老けになられました

 

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