ハロウィン

監督:ロブ・ゾンビ

脚本:ロブ・ゾンビ

出演:マルコム・マクダウェル、ブラッド・ドゥーリフ、
シェリ・ムーン・ゾンビ、タイラー・メイン、デーグ・フェア

ストーリー

 米イリノイ州の片田舎ハドンフィールド。ハロウィンの夜、可愛がっていた赤ん坊を残し、母親の恋人と姉、そのボーイフレンドを惨殺した少年マイケル。17年後、異様な巨人へと成長した彼は、妹を捜すために精神病院を脱走。呪われたマスクを再び被り、殺戮を開始する…。

レビュー

 メタル界の大御所にして、「マーダー・ライド・ショー」「デビルズ・リジェクト」の2作でホラー映画ファンの心を華麗に撃ち抜いてみせたロブ・ゾンビ監督による「ハロウィン」のリメイク作品。言うまでもなく、カーペンターの「ハロウィン」は完璧な作品であるが、ブギーマンことマイケル・マイヤーズが姉を殺害し、ハドンフィールドを恐怖に陥れる殺人鬼へと変貌していく動機は完全に謎のベールに包まれていた。だからこそ、マイケルの抱える底知れぬ闇を想像し、あるいはブギーマンという名の悪鬼に絡めたオカルティックな考察も出来る非常に余白の多い作品だったのだが、その余白にド派手なロブ・ゾンビ色の絵の具を豪快に塗りたくったのが本作である。

 物語序盤はとにかく幼きマイケル君の荒んだ家庭環境を説明することに終始している。父親は無職のクズ、母親はストリッパーの仕事で生計を立て、姉はアバズレという絵に描いたようなホワイトトラッシュであるマイヤーズ家の生々しいド底辺生活描写にたっぷりと時間を割き、1人の少年が怪物へと育っていく過程を丁寧に描き出す。個人的には、オリジナル版の少年犯罪とは無縁そうなキョトン顔のマイケル坊やが好きだっただけに、本作のいかにも良からぬことを企んでそうな少年院顔のマイケル君は受け入れ難いものがあるが、そもそもオリジナル版とはコンセプトが違う作品なので、そこを突っつくのは野暮というものだろう。

 オリジナル版との差違は成人となったマイケルにも顕著に表れ、どこかもやしっ子のようなヒョロさすら感じさせた亡霊的な初代マイケルとは対照的に、殺傷能力に説得力を持たせた屈強な大男として描かれる。対抗するヒロインのローリーもロブ・ゾンビ好みのビッチな眼鏡っ娘へと改変され、本来であれば「ハロウィンU」での種明かし(後付けとも言う)であった妹設定も継承し、終盤は邪魔なルーミスをさくっと始末して兄妹同士の対決に収束していく流れが実にお見事。その決着の描き方もロブ・ゾンビならではのセンスの良さを感じさせる。映画としての出来はすこぶる良いので、とりあえずカーペンターのことは一旦忘れて、ロブ・ゾンビのスラッシャー映画として楽しむのが正解の作品だ。

 

いかにも少年院顔をしているマイケル君

 

ちなみに「ハロウィン4」「5」のダニエル・ハリスも出てます

 

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