怪談新耳袋 怪奇
ツキモノ

監督:篠崎誠

脚本:三宅隆太

原作:木原浩勝、中山市朗

出演:真野恵里菜、坂田梨香子、
鈴木かすみ、吉川友、北原沙弥香

ストーリー

 女子大生・あゆみが通学バスで見かけた裸足の女。「…背負う気あんの?」不気味な独り言を呟き、しゃっくりを繰り返す異様なその女は、知らぬ間にあゆみの大学に侵入。恐怖の波紋を広げてゆく。

レビュー

 怪談新耳袋の劇場版4作目にあたる作品で、50分の中編の2本立てで構成されており、どちらも監督は篠崎誠で脚本が三宅隆太、主演は後に実写版「パトレイバー」の泉野明役に抜擢されるハロー!プロジェクトの真野恵里菜で統一されている。1本目である本作は、女子大生の真野恵里菜が、通学バスで具合の悪そうな不気味な女性に親切心から声を掛けたばかりに、大学全体を巻き込んだ大惨事へと発展していくストーリーで、心霊的な恐怖よりも、ゾンビパンデミック的な楽しさすら感じさせる、新耳袋シリーズの中では異色ともいえる作品となっている。

 ヒロインの真野恵里菜は、1人だけ就職活動が順調であることを友人に言い出せないほどのお人好しなので、バスで他の乗客が完全スルーしている見るからにヤバそうな風貌の女性にも、ついつい優しい声を掛けてしまう。その日の講義中、女性は突如として教室に乱入し、教師の両目を破壊する。大パニックとなる学生たちであったが、大変なのはそれだけではなかった。翌日、生徒の1人がその女に憑依され、学生たちを襲い始めたのだ。教室の机の上を裸足でピョンピョンと渡り歩き、さながら「ヒドゥン」のように宿主を次々と変えて襲撃を繰り返す正体不明の女がとにかく得体の知れない恐怖を感じさせるが、そもそもこうなった原因の全てはヒロインにあるという残酷な事実こそが本作の隠れたテーマにもなっている。

 女性は常に「見ざる、言わざる、聞かざる」という独り言を繰り返しており、冒頭、優しい声を投げ掛けたヒロインに対して「背負う気あるの?」と問い掛け、死の間際すらもヒロインを「偽善者」と罵る。要するに、相手の全てを背負う覚悟が無いのなら、余計な優しさはきっぱりと捨て、見ざる言わざる聞かざるに徹するべしという、ある種教訓めいた話にもなっており、これは脚本を担当した三宅隆太のテイストが非常に強い。というのも、三宅隆太は日常的に幽霊を目撃するリアル「シックス・センス」な人物であることは有名であり、少年時代に道端にいた幽霊に軽い気持ちで声を掛けたら、家にまで付いてきた挙げ句に何日間も居座られて大層苦労したという、まさに本作そのものとも言えるエピソードも持っているのだ。この体験談は同じく三宅隆太脚本作品の「クロユリ団地」でも活かされているので、そちらも併せて鑑賞してみるのも面白いだろう。

 

 声を掛けてしまった。それが過ちの始まり

 

教室に乱入する不気味な女。大学はパニックに

 

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