感染

監督:落合正幸

脚本:落合正幸

出演:佐藤浩一、高嶋政伸、星野真理、真木よう子、
木村多江、羽田美智子、草村礼子、南果歩

ストーリー

 経営危機に瀕した病院。薬も備品も底をつきかけ、院長は何処かへ失踪した為、給料の支払いもロクに行なわれない。そんな時、謎の急患が担ぎ込まれるが、外科医の秋葉は「そんな余裕は無い」と患者の受け入れを拒否する。

 その時、重度の火傷を負った入院中の患者が、ベッドから落ちる事故が発生。緊急オペを行なうが、看護師立花が塩化カルシウムと間違えて塩化カリウムを注射してしまい患者は死亡。医療ミスが起きたことに動揺する一同だったが、看護師桐野はあることを思い出す。この患者は入院してから誰も面会に来ていない、彼には家族も友人もいないということを。魚住は全員の身の保身の為、隠蔽工作を提案する。

 隠蔽工作を進める中、婦長の塩崎は緊急口に放置されたストレッチャーを発見する。それは先程、秋葉が受け入れを拒否した急患であった。混乱の中、医師の赤井が突然姿を現す。彼は塩崎、秋葉、魚住に説明する。「この患者は未知のウイルスに感染している、我々で研究をし、学会に発表すれば病院の経営を立て直すことが出来る」ことを。

 最初に感染したのは塩崎だった。彼女は使用済みの注射器を消毒しようと自分の腕ごと熱湯に突っ込んだそして次の瞬間、耳から緑の血がダラダラと流れ始める。院内感染が起きた!すぐに塩崎を隔離し、感染を食い止めようとする秋葉と魚住。しかし、死のウイルスは次なる犠牲者を求め、病院中に広がろうとしていた。

 「火傷の患者がベッドから落ちたのは貴方の下手な注射の所為」と新人看護士の安積を激しく非難する桐野。罪悪感に苛まれ、絶望する安積にも、ウイルスの魔の手が迫っていた。練習と称して自らの腕に無数の注射器を突き刺した安積が突然緑色の液体を噴出して溶けていった。大量の体液を浴びて放心状態の桐野も不可解な幻覚に襲われる。医療ミスで死亡した患者の面会に現れた首無しの老婆。桐野もまた死のウイルスに冒されつつあるのだった。

 魚住も過去に自分が安楽死させた老人の幻影を見ていた。「心が壊される」という言葉を残し、魚住は絶命する。一方看護士の立花もウイルスの犠牲となり、自分の血液を医療ミスで死んだ患者の血に分け与えていた。残された秋葉は、こんな状況でも冷静な赤井を見て確信する。すなわち、ウイルスは赤井が持ち込んだもので、自分たちは実験台なのだと。しかし、赤井はそれを否定した。

 翌朝、病院内では大量の惨殺死体が発見される。生存者は秋葉ただ1人。赤井の姿は何処にも無い…

 レビュー

 「世にも奇妙な物語」で落合正幸が監督を務めたエピソード「急患」を劇場映画用にセルフリメイクした作品。個人的な話だが、「急患」は「世にも」の中でも屈指のトラウマエピソードであり、医師や看護婦が緑色の液体をボタボタと流して息絶えていく姿をバッチリ目撃した当時小学校低学年の私は心に深い傷を残す結果となった。

 そんなワケで、過去のトラウマに打ち勝つべく劇場へと足を運んだが、当時感じたイヤ〜な空気感は本作でも健在。直接的な残酷描写は無いのだが、経営破綻寸前の病院という、絶望的な状況下で起きる異常すぎる事態の数々に、登場人物のあまりに残酷な本性が剥き出しになるストーリー展開は、見てはいけないようなものを見ているような、妙な居心地の悪さを感じてしまうのだ。

 結局、ウイルスなんてものは初めから無く、極度の罪悪感、自罰意識に苛まれた一同が見た集団幻覚というオチは賛否が分かれそうだが、バイオハザード系の細菌パニックと思わせといて、Jホラー作品特有の少しも状況が好転しない圧迫感溢れる絶望的な展開を見せてくれたことが個人的には嬉しい。実力派のベテラン俳優が多く出演していることもあり、物語全体に尋常ではない程の緊張感が出ているのも好印象である。

 

  

  次々と壊れていく看護婦達

 

   もう、ホント勘弁してください

 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送