1時限目 〜惰性〜

  本当におかしなゼミだな、と思いながら前山香苗は今日も席に着く。受講生は見事に変わり者の集まりだし、講師も重度のオカルト好きときているのだから。香苗がこのゼミを受講する事になってしまった原因の9割は、友人・増渕詠子にある。詠子とは中学校時代からの友人で、物心付いた時から常に一緒に行動していたといっても過言では無い。詠子は小動物のように大人しい娘で、趣味も読書と裁縫のみという、アウトドア派の香苗とは対極に位置する存在であるが、そんな彼女を放っておけず余計なお節介を焼いてしまうのが香苗の性分であった。

 だが、高校卒業後の進路が2人ともここ“黄泉川大学”への進学だったことは、まったくの偶然である。香苗は就職希望だったのだが、とりあえず大学にだけは行け、という両親のしつこい説得に渋々応じ、家から一番近いという極めて不純な動機でこの大学を選んだのだ。しかし、詠子の方は元々この大学への進学を強く希望していた。その理由は完全に理解の範疇を超えたものであり、大学生活3年目を向かえた現在でも、香苗の悩みの種になっている。

 

「詠子、またその本読んでる」

 

 既に教室に入り、読書に耽っていた隣の席の詠子に話し掛ける。分厚い本の背表紙には『都市伝説探索究明』というタイトルが書いてあった。これこそが香苗の悩みの種の正体である。詠子はゼミの講師である古池茂と同様にオカルト関係に強い関心を持っており、黄泉川大学を志望した理由も、この大学が建造された場所・土地に何か重大な秘密が隠されていることを何かの文献で知ったからだそうだ。その秘密が一体何なのか、香苗にとっては知りたくも無いのだが。

 

「だって卒論、そろそろ取り掛からないとマズイでしょ?私のテーマ、都市伝説だから」

 

 詠子は照れくさそうに言い、本をパタンと閉じた。

 

「就職活動だけでも忙しいのに、この時期から卒論までやらせるんだもんな。大学3年って、地味に一番忙しいと思うの俺だけ?」

 

 向かいの席に座っていた竜崎賢吾がルーズリーフを閉じたファイルを団扇代わりにして言う。竜崎は奇人変人揃いのゼミの中では比較的マトモな思考を持った男子だったが、軟派で軽薄な上にお調子者と来ている。つまり、香苗が最も嫌う人種の1人であった。

 

「今のうちに面倒臭ぇこと全部片付けておけば、4年生は1年間自由に遊べるワケだろ。つべこべ言わずにお前も原稿書けよ」

 

 面倒臭そうに言い放ったのは竜崎の隣に座っていた磯部新太郎だ。磯部はボクシングジムに通うスポーツマンだが、実は2年間も大学3年生をしている問題児である。その理由は学力が足りないというわけでは無く、単純にボクシングに忙しいからだそうだ。いい加減、自分の本分というものを自覚した方が良いのではないかと香苗は常々思っている。

 その時、場違いな電子メロディーが響いた。

 

「ごめん、私の」

 

 詠子を挟んだ隣の席に座っていた真っ黒いゴスロリ衣装の少女・雛菊咲が消え入るような声で呟くと、鞄から怪しげなストラップの付いた携帯電話を取り出す。そこから流れるメロディーは、続編の放送中止騒動が記憶に新しい『SCHOOL LIFE 〜鈴虫が鳴く時に〜』という深夜アニメのオープニングテーマ曲であった。

 香苗は以前、咲からこのアニメを録画したDVDを、頼んでもいないのに貸してもらったことがあった。その中身はよくある学校生活を描いた、本当に他愛も無い学園ラブコメディだったのだが、最後の1話、つまり最終回が色んな意味で常軌を逸していた。食パンをくわえたヒロインのドタバタな登校風景を可愛らしく描いたオープニングは、何故かその回だけはゴスロリ衣装を身に纏ったヒロインが生気の無い瞳で静かに街を歩く姿を描いていた。

 本編は更に異常で、学校に登校したヒロインが、スカートのポケットからカッターナイフを取り出し、クラスメイトを次々と惨殺していくのだ。クラスメイトに何かしらの恨みを持っているような描写はそれまで皆無だっただけに、あまりに唐突で衝撃的な展開であった。最後は、教師や警官に学校の屋上へと追い詰められた血塗れのヒロインが、カッターナイフを自分の咽喉に突きつけるシーンで暗転、唐突にエンディング曲が流れて終わった。放送終了直後、ネット上の大型掲示板では所謂“祭り”が起こり、今まで全く注目されることのなかったこのアニメは一気に伝説となったが、当然のことながら各所からのクレームや警察組織の圧力によって、DVDソフトの販売やこの夏に予定されていた続編の放送は中止となった。

 咲もこのアニメに心酔している少女の1人で、今は夏だというのに鬱陶しいゴスロリのドレスを着ているのも、最終回のヒロインの姿を意識してのことだろう。

 

「いい加減、そのヘンテコなファッション卒業しなよ。咲ちゃん、顔はかなりの美少女なのに勿体無いぜ」

 

 こういう時にデリカシーの無いことを平気で言えるのが竜崎である。香苗は自分のことでも無いのに、何故か無性に腹が立った。

 

「別に何を着ようが咲の自由でしょ。それより咲、電話出なくていいの?」

 

「アラーム。さっきまで寝てたから、図書室で。セットしておいたの、ゼミに間に合うように」

 

 咲は不自然な倒置法を連続で用いた返答をすると、ボタンを操作してアラームをオフにした。どこまでも謎な娘である。どうしていいのか困惑した香苗が「そ、そうなんだぁ」とオーバーなリアクションで納得すると同時に、教室にゼミの担当講師である古池が入ってきた。古池は50代後半の気さくな男性で、生徒からも比較的人気のある講師である。ただ、その生徒の大半が彼のオカルト趣味については無知であることは間違いない。

 

「ありゃ、1人足りないね…ああ、五木君か」

 

 古池は教室を見渡して言う。確かに、五木恭哉がまだ来ていなかった。五木はホラー映画、それもとりわけ残酷描写の強いスプラッターと呼ばれるジャンルの映画の愛好家で、やはり彼も少し変わっていた。

 

「見た、図書室で」

 

消え入るような声で咲が言った。

 

「あのバカ、もしかして今日がゼミだってこと忘れてんじゃないか」

 

 磯部は呆れたように言うと、席を立つ。問題児なのは確かだが、磯部はメンバーの中では年長者ということもあってか、ゼミの進行を円滑にするために古池に協力的な態度を取ることが多かった。

 

「俺、呼んできますよ」

 

「いや、いいよいいよ」

 

古池が好々爺の表情で磯部を席に座らせると、自らも教室の片隅に無造作に置かれていた椅子に腰掛ける。

 

「本当に申し訳ないんだけどね、今日のゼミは休講にしようと思うんだ」

 

 ラッキーとばかりに指をパチンと鳴らす音が響く。こういう分かり易いリアクションをするのは竜崎である。

 

「具合でも悪いんですか?」

 

 詠子が心配そうな表情で古池に尋ねた。竜崎とは対照的でいかにも詠子らしいが、香苗の目に映る古池はどう考えても体調不良には見えない。むしろ、いつもよりも生き生きとしているようにも感じられる。

 

「いやいや、違うんだ。実はちょっと見て欲しいモノがあってね。いきなりだけど、今日の夜、暇な人っているかな?」

 

 いきなりそんなことを言われて「はいはい、アタシ今夜暇です」と即座に返事など出来るわけがない。香苗は半ば呆れながらも古池に言う。

 

「あの、見て欲しいモノって…良く分からないんですけど、それって今じゃ駄目なんですか?」

 

「今じゃ駄目なんだ。今じゃ。今夜の12時ちょうどに私の研究室にくれば全部分かる。出来れば、君たちにも目撃者になってもらいたいんだが」

 

 とんでもないことを平然と言ったな、と香苗は更に呆れた。夜中の12時?…そんな時間に学校へ来いと、教師が生徒に言っても良いのだろうか。

 

「先生。私、今夜暇なんで言っても良いですか?」

 

 香苗の隣に座っていた詠子が挙手をして何やら凄いことを言い出した。台詞だけ聞くと教師と生徒の禁断の愛を連想させるが、この2人に限ってそれは無いだろうと香苗は思う。まさかの立候補者の登場に、さすがの竜崎も動揺を隠しきれていない。

 

「えええええ!?詠子ちゃんが行くの?じゃ、じゃあ俺も行こっかな。女の子1人だと心配だし」

 

 詠子も竜崎に心配される筋合いは無い。香苗が呆気に取られていると、竜崎の隣にいた磯部までもが「面白そうだな、俺も行く」などと言い出した。これは香苗的に少々マズイ展開である。

 

「ちょっ、みんな、ちょっと待ってよ!夜中の12時よ、12時。そりゃあ、大学生は時間を持て余しているものだけど、そんな時間に学校周辺をウロウロしてたら、警察にだって通報されかねないわよ」

 

 そうだ。理由は分からないが、今は警察が頻繁にこの近辺を巡回している。

 

「なになに前山、ビビッてんの?」

 

 竜崎が小学生ばりに挑発してきた。さすがに頭に来た香苗は机をバンッと叩き席を立つ。

 

「ビビッてないわよ!別にアンタが不法侵入で捕まろうが、就職出来ずにネカフェ難民になってノタレ死ぬ結果になろうが、アタシの心は1ミクロンも痛まないわよ!けどね、アタシは詠子が心配なの!詠子“だけ”が心配なの!分かる!?」

 

「か、香苗、ちょっと落ち着いて…」

 

 詠子の言葉に香苗はハッと我に返る。怒りに任 せてとんでもない暴言を吐いてしまったような気がする。竜崎も何だかばつが悪そうに口を尖らせていた。

 

「そうですよ、前山さん。落ち着いて」

 

 古池がいつも通りの笑顔でなだめると香苗は溜息と共に席に座り、「すいませんでした」と誰に向かってでもなく上辺だけの謝罪をした。

 

「詠子が行くって言うなら、私も行きます。なんか心配なんで」

 

 香苗が言うと、詠子が一言「ごめん」と申し訳無さそうに言った。謝られても困るのだが。

 

「行く、私も」

 

 胸に付いている馬鹿でかいリボンを指で弄りながら咲がボソッと呟くと、古池は嬉しそうに表情で椅子から立つ。

 

「嬉しいなぁ、全員来てくれるんだね。じゃあ、今夜の11時半頃、校門前に集合しようか。大丈夫、絶対に後悔はさせないから」

 

 後悔しかしないような気もするが。というか、図書室でサボっている五木のことを完全に忘れていないか?古池が退室すると、教室を静寂が包んだ。先程、香苗が大人気も無く怒鳴り散らしてしまった所為もあり、誰も口を開こうとしない。責任を感じた香苗は、とりあえず沈黙を破ることにした。

 

「で、どうするの?これから」

 

 いきなり香苗が喋り出したので、竜崎の体がビクンと跳ね上がった。いくらなんでもビビりすぎだろうと香苗は少し可笑しくなる。隣に座っていた磯部がその様子を見て微笑むと、おもむろに椅子から立ちあがった。

 

「とりあえず今から図書室に行かないか?サボってる五木にも知らせておいた方が良いだろ」

 

 そんなものは誰かがメールをするなり、直接電話で伝えれば良いのではないかと香苗は思ったが、これは仲良しグループとは無縁である古池ゼミの受講生に何とか集団行動を起こさせようとする磯部なりの作戦なのだろう。反対するものは誰もいなかったので、香苗たちは教室を後にし、図書室のあるB棟へと移動する為に中庭に出た。

 もうすぐ夕暮れだというのに日差しは想像以上に強く、竜崎が「うへえ」と珍妙な悲鳴を上げる。

 

「こりゃ地獄だな。夏休みまであと何週間だっけ?」

 

竜崎の質問に磯部は「1週間と半分」と答える。

 

「でも就職活動もあるし、今までみたいに遊んでばかりってワケにはいかないよ」

 

 詠子の意見はごもっともであるが、大学の夏休みは中学高校のそれとは比べ物にならないほどに長い。この休みを利用し、香苗はこの夏こそは絶対に彼氏をゲットすることを密かな目標としているのだ。勿論、就職活動はするつもりでいるが、今はとにかく彼氏である。そして、素敵な一夏の思い出を作れたら…

 

「ねえ香苗、聞いてるの?」

 

 詠子が呆れ気味に香苗の顔を覗き込む。香苗は慌てて我に返った。

 

「あ、ごめんごめん。就職活動は早めにやった方がいいよね」

 

「なあに話聞いてんだよ。室岡先輩の話だろ」

 

 竜崎がここぞとばかりに食って掛かった。室岡先輩とは、4年生の中でも飛び抜けて美人の生徒で学園内でもファンが多い。その室岡先輩が、研究室のあるA棟から出ていく姿を見て、急に話題は夏休みから彼女へと移ったということらしい。

 

「室岡先輩か。去年受講した社会心理学で一緒になったことがあるけど、凄く綺麗で、感じの良い人だったよ」

 

 香苗は1年前のことを回想して竜崎では無く詠子に向かって言った。

 

「彼女、1歳下の妹さん亡くしてんだってな」

 

 磯部の言葉に真っ先に反応したのが咲だった。

 

「山雛高等学校生徒・職員ガス中毒死事故。確かその犠牲に」

 

 とある高等学校の生徒・教員らが地下から湧き出たガスによって大勢死亡したというにわかには信じられない事故が起こり、日本中に衝撃を与えたのが3年前。香苗が大学1年生の時であった。その高等学校はここからそんなに離れていないということもあり、当時はTV局の車やヘリコプターを大学近辺でもよく見かけていたのを香苗は覚えている。

 

「そういや今日でちょうど3年か。アレ、結局原因は分からなかったんだっけ?」

 

 磯部の問いに、竜崎が「火山性ガスだよ、火山性ガス」と極めて適当な受け答えをする。

 

「火山性ガスってお前、この辺に山なんてないだろ」

 

「私は、戦時中に放置された化学兵器って聞いたけど」

 

 都市伝説マニアの詠子が何やら物騒なことを言い出す。いずれにせよ、おかしな事故だったなと香苗は思う。被害があったのはその高等学校のみという話だし、週刊誌の記事によると、真相は毒ガスなどではなく、精神異常者の集団が校内に立て篭もって生徒を皆殺しにしていたという。日本刀を持った血塗れの女子高生が目撃されたとの情報もあり、この謎多き事故はオカルトファンの間で一大ムーブメントを巻き起こしたが、そのふざけたブームもいつの間にか終わっていた。何とも、飽きっぽい日本人の国民性を象徴していた現象であった。

 そんな会話をしているうちに香苗達はB棟へ到着し、4階へとエレベーターで上がる。図書室の入り口でICチップが内蔵されている学生証を、駅の改札を彷彿とさせるフラッパー式のゲートへとかざし、冷房の程良く効いた図書室へと入った。

 

「雛菊、五木をどこで見たんだ?」

 

 磯部が聞くと、咲は「ビデオ視聴コーナー」とボソッと言った。五木が好きそうな映画のビデオなど、この図書室にあるとは到底思えないのだが。

 TVがずらりと陳列されている視聴コーナーに移動すると、黒縁メガネを掛けて画面を食い入るように見ている生徒がいた。五木である。ヘッドフォンをしているので、香苗ら5人の存在にはまるで気が付いていないようだ。五木の見ているモニターの中では、押さえ付けられた男性がこめかみを電動ドリルで貫通させられる悲惨な光景が映し出されていた。

 

「図書室で何つー映画観てんだ、バカ」

 

 竜崎の持ってるトートバックが五木の頭部へと振り落される。確かに大学の図書室で観るような映画ではない。五木は「痛っ」と悲鳴を上げて慌てて振り向き、ヘッドフォンを外す。とても大学生とは思えぬほどの童顔だ。

 

「何だよ、何しに来たのさ」

 

「今日はゼミだろ。必修科目落としたら卒業出来ないんだから真面目に出ろよ」

 

 磯部の言葉に五木は「あ、そんな時間か」と極めて呑気に言った。

 

「来る途中に面白そうな映画のビデオがレンタル落ちで手に入ってさ、ちょっと夢中になってたってワケ」

 

 五木は小学生のようにテヘヘと笑うと、デッキからテープを取り出して色落ちの激しいビデオケースに入れる。何やら物騒なタイトルの映画であった。

 

「っていうか、わざわざ迎えに来てくれたの?」

 

「いや、今日のゼミは休講だってよ。その代わり、古池が深夜12時に研究室に来てほしいっていうワケの分からない要求をしてきたから、お前にもそれを伝えに来たのさ」

 

 磯部が説明をすると、五木はポカンと口を開けたまま固まってしまった。これが正常なリアクションなのだと香苗は思う。そこでアッサリと「私、行きます」なんて言える詠子が異常なのだ。

 

「面白そう!僕、そういうの好きだよ。フルチのおっさんが何を企んでるのか知らないけど、行ってみようじゃん。みんなも行くんだろ?」

 

 香苗は一瞬でも五木を信じた自分を呪った。やはり彼も異常だ。ちなみに“フルチのおっさん”とは五木だけが使っている古池先生の渾名で、古池という漢字を無理矢理“フルチ”と読んでいるのだ。それに一体何の意味が込められているのか、香苗は知らないし、別に知りたくもない。

 

「じゃあ、これからカラオケでも行って時間潰すか?」

 

 竜崎の提案に磯部と五木が食いつき、完全にカラオケに行く流れになっている。

 

「あ、それ私パス。っていうか、これからバイトだし」

 

 そうだ。今日は週2で勤めているゲームセンターのアルバイトの遅番が入っている。バイトを完全に上がれるのは遅くても11時。車で飛ばせば、集合場所の校門に11時半に行くことは可能だが、生憎香苗は自分の車を持っていない。

 

「香苗、今日来れないの?」

 

 詠子が子犬のような眼で見上げてきた。正直、香苗はこの顔が苦手だった。

 

「い、行くってば。それより竜崎、カラオケで詠子に変なことしたら私が許さないからね」

 

 竜崎の「するワケねーだろッ」という動揺した声が図書室に響き、棚の整理をしていた司書の中年女性に睨まれる。

 

「ここは図書室だよ。勉強しに来てる学生がほとんどなんだから、少しは場の空気ってものを読んでよ」

 

 五木がメガネを指で押し上げながら得意気に言うと、即座に「お前が言うな」と磯部の鋭いツッコミが入った。そのやりとりを見て、香苗は無意識のうちに自分が笑顔になっていることに気付く。何だかんだ言って、自分はこの奇妙奇天烈なゼミメンバーのことが気に入っているのかもしれないな、と思った。

 

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