富江vs富江

監督:久保朝洋

脚本:久保朝洋

出演: あびる優、八戸亮、
松岡恵望子、三浦誠己、菅原大吉

ストーリー

 恋人の尚子を目の前で何者かに殺された梅原一樹は、精神的なダメージを克服するためにカウンセリングに通いながら社会復帰を目指していた。目の前で殺されたとはいえ、一樹に事件の定かな記憶が無く、尚子の死体も見つからない状況では、警察も事件そのものの存在すら認めることはできなかった。しかし、一樹は尚子の遺骨の一部を形見として持っており、尚子の死を確信していた。やがて、症状が良くなってきたこともあり、一樹はマネキン工場に就職する。工場長の藤田に先輩工員の岸田を紹介された一樹は、彼から仕事を教えてもらうことになる。

 ある日、藤田に「会わせたい人がいる」と工場の別棟に連れていかれた一樹は、そこで尚子と瓜二つの富江に会う。藤田も他の工員も、富江の魔性に取り憑かれているかのようであったが、一樹は尚子の残像が脳裏によぎり、富江に対して過剰なまでの拒絶反応を示してその場を立ち去ってしまう。富江は激しい屈辱を受けながらも、一樹を虜にするという強い思いを抱く。一方で富江は、藤田と工員の大城にある女を探させていた。岸田と一緒に暮らしているその女もまた富江を探しており、彼女の名も富江であった…。

 富江を追い続け30年も愛しては殺して、を繰り返してきた男は、富江から採取した血を生まれたばかりの女児に注入していた。それは、富江に人生の全てを奪われた男の、富江へのささやかな復讐であった。富江の細胞を持った富江のコピーは体内に流れる血液が次第に濁り、やがて皮膚が崩壊してしまう。肉体の崩壊を防ぐにはオリジナルの鮮血が必要であった。一樹は富江に追われた富江といつしか行動を共にする。一樹の心は次第に開かれ、富江に尚子を投影するようになるが、間もなく富江と富江の血をかけた闘いが訪れようとしていた…。

レビュー

 タイトルは「フレディvsジェイソン」「エイリアンvsプレデター」に便乗してる感じであるが、内容は全然vsしてない。それ以前に、富江と富江が対峙することなんて過去作で散々やっているので何を今更といった印象の拭えないタイトルである。今回の富江役は過去の万引き発言で芸能界から干されたあびる優であるが、彼女の役どころは人間の血が混ざった出来損ないの富江。どうやらこの世界には無数の偽・富江が居て、彼女たちは時間と共に肉体が崩壊して行き、やがては死に至るらしい。それを防ぐにはオリジナルの富江の血液が必要ということで、偽・富江らがオリジナルを探してアレこれ奮闘するというのが主なストーリー。

 偽・富江の誕生の秘密や主人公の恋人の死の真相、謎の男の正体にオリジナル富江の居所など、最後の最後にならないと真相が分からないミステリー重視の構成であるが、イライラするほどにトロいテンポ眠気を誘う単調なBGMなど、真相が判明するラストまで、観客の興味を繋いでいくだけの力量が監督に無かったのが残念なポイント。主人公の腹を突き破って富江が登場するクライマックスは素晴らしかっただけに、尚更そう感じてしまう。

 尚、原作者のイトジュンは本作がシリーズ最高傑作との評価を下しているが、この手の評価がまるで当てにならないことは、スティーヴン・キングの「ドリーム・キャッチャー」で実証済みなので、イトジュンの発言を鵜呑みにして鑑賞するのは非常に危険であることを最後に追記しておく。

 

 

      段ボールアイドル、あびる優の富江         段ボール富江の命を狙う富江。狙うはオリジナルの血!

 

 人間の血が混ざった富江は徐々に肉体の崩壊が始まる     オリジナルの富江は主人公の腹の中にいた!

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