富江
アンリミテッド

監督:井口昇

脚本:継田淳、井口昇

出演: 荒井萌、仲村みう、多田愛佳
大和田健介、大堀こういち、川上麻衣子

ストーリー

 高校で写真部に所属する月子は友人・佳恵と帰宅途中、同じ学校に通う姉の富江に会う。富江は月子が憧れる先輩と連れ立っていた。男を誘惑する姉に激しい嫉妬を感じるも、その眩いばかりの美しさに陶酔し、カメラでシャッターを切り続けてしまう月子。そんな月­子の感情を見透かしたような言葉を投げかける富江。動揺した月子のシャッターを推す指が止まったその時、建設中のビルから落下してきた鉄骨に刺し抜かれ、月子の目の前で富­江は絶命してしまう。

 それから1年が経ち、富江が死ぬ瞬間の悪夢にうなされ続ける月子だったが、徐々に日常を取り戻し始めていた。生きていれば18歳になる富江の誕生日、両親と3人でバー­スデイケーキを囲み、“富江が生きていたら”と生前の富江を偲んでいたその時、豊かな黒髪と禍々しい程の美しさを携え、死んだはずの富江が家にやってきた。父も母も大粒の涙を流して喜ぶが、月子は信じられない事態を前に、ただ呆然と立ち尽くしていた…。

レビュー

 睡眠導入剤としては優秀だった「富江vs富江」の失敗により、ついに富江も息の根を止められたかと思いきや、そこはいくら殺されても蘇る富江。「片腕マシンガール」「ロボゲイシャ」などでボンクラ映画ファンを魅了し続ける井口昇がメガホンを取り、またまた富江はスクリーンに再生を果たした。今回の富江役は「テケテケ2」「制服サバイガールU」の主演ですっかりB級ホラーヒロインが板に付いたグラドル出身の仲村みう。言われてみれば確かに富江顔なので、比較的違和感の無い配役だったと思う。

 過剰過ぎてギャグすれすれの恐怖描写、ナンセンスな展開のつるべ打ちが井口作品の特徴だが、それはイトジュンの漫画にも全く同じことが言えるので、一見そのスラップスティックな作風により「富江」シリーズでは異端と見なされがちな本作が、実は1番原作の持つ雰囲気を再現しているようにも思える。1作目と同様に写真少女・泉沢月子が主人公の「写真」を原作にした物語であるが、真面目ぶってサイコホラー風の空気を出そうとして失敗していた1作目と違い、本作では原作のおどろおどろしい恐怖シーンを出し惜しみなく登場させ、まさしく「富江」以外の何物でもない映画になっている。

 1作目のレビューで原作の「写真」「接吻」「屋敷」の3部作を映像化してほしかったと書いたが、本作はまさにその3部作を強引に1つにまとめたような作品で、流れ出る血液だけで人体を形成する富江や大ムカデのようなクリーチャーと化した富江が原作通りに登場。特撮は恐ろしく安っぽいが、その確信犯的なチープさが逆に悪い夢を見ているかのような錯覚を起こさせ映画をより一層得体の知れないものに仕立てている。中でも、夜の学校で富江に追われる月子のシーンは素晴らしい出来で、首を切断された富江が大爆笑しながら廊下を全力疾走するシーンは完全にギャグなのにも関わらずメチャクチャに怖い。行き過ぎた恐怖はギャグになるが、行き過ぎたギャグもまた恐怖に繋がるのである。

  富江という存在が月子の思い描く理想の自分が具現化した姿とも解釈出来るラストは賛否が別れるところであるが、後味が悪いクセに妙な切なさを感じさせる結末は大林宣彦監督の「HOUSE ハウス」を彷彿とさせ、何とも複雑な余韻を観客に残す。また、月子の友人役でAKB48の多田愛佳が出演しているが、弁当箱から出てきた富江のベロで犯された上に枝切り鋏で首を切断され、挙句の果てには上半身と下半身を引っ張られて内臓をチラ見せさせながら胴体が真っ二つに裂けるという壮絶な最期を演じており、「富江」シリーズのことをよく知らずに彼女目当てで映画館に足を運んだAKBファンを唖然とさせた。

 

  

      富江の肉片が入った弁当は富江弁当に!        色々とスゴイことが次々起こる!これぞ「富江」!

 

 

         これでいいのかAKB48           巨大な富江のクリーチャーも登場。ごちそうさまでした

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