死びとの恋わずらい

監督:渋谷和行

脚本:友松直之

出演: 後藤理沙、松田龍平、三輪明日美、
三輪ひとみ、高橋慎二、猪俣ユキ

ストーリー

 幼い頃の住んでいた街へ戻ってきた深田みどりは、転校した同じクラスに幼なじみの柴山龍介がいる事に気付き、久しぶりの再会を喜んだ。クラスメイトの光太郎は、そのみどりを気にかけるが、光太郎に想いを寄せる珠代はおもしろくない。そこで友達から聞いた辻占いを行なう決意をする。しかし、悲劇はそこから始まった。辻占の結果、珠代はカッターナイフで喉を切り裂いてしまう。結局自殺として扱われたが、クラスでは「辻占の美少年」の呪いだという噂で持ちきりになった。そして、この自殺をきっかけにみどりの周りでは不可解な出来事が起こり始めるのだった…。

レビュー

 往来で行き違った人の言葉で吉凶を占う「辻占」を巡って描かれる愛憎渦巻く学園ホラー。ポカリスエットのCMで一世を風靡し、当時はポスト宮沢りえとまで呼ばれた後藤理沙が主役を務め、その相手役である謎の多い男子生徒を松田龍平が演じている。原作での主人公は本作における松田龍平であり、ヒロインも序盤はそれほど物語に関わってこない程度の扱いであったが、野郎が主人公のホラーでは興行が見込めないと判断されたのか、まさかの主役交代。原作とは立場が逆転し、子供時代に住んでいた町に越してくる転校生がヒロインの方になっているのがまず面白い。アレンジはそれだけにおさまらず、物語は「辻占」「黒服と白服」「カッターでの首切り自殺」「入れ墨の女」「無邪気さ故に発した残酷な言葉の断罪」といったキーワードだけを残して大胆に改編されており、はっきり言って原作とは完全に別物の話となっている。ちなみに本作の脚本は当サイト的には大変お世話になっているレイプゾンビ」友松直之が執筆しており、俺の見間違いでなければ劇中のとあるシーンにちゃっかりと出演までしている。

 原作では松田龍平演じる男子生徒と辻占で現れる黒服の美少年が同一人物であることはある種のミスリードになっていたが、映画ではそのまんま松田龍平が黒服の美少年の正体であり、しかも当時ヒットしていた「シックスセンス」の影響を受けたのか知らないが、実は大昔に死んでいたという真相も終盤で明かされる。松田龍平がヒロイン以外のクラスメイトと会話をしているシーンが無いので察しの良い人は開始数分で分かる真相ではあるが、本作では更にそれを凌駕する、物語上の矛盾とか整合性とか、そういった細かいことを一切放棄した無茶苦茶な第2のどんでん返しが用意されており、さすがにこのファンタジック過ぎるオチは誰にも予想が出来ないであろう。それでも、ヒロインが過去のトラウマと向き合い、白服の少女となって悩める人たちの希望の存在へとなることを示唆した結末はどこか感動的であり、余韻としては決して悪くはない。出来れば、女性が一斉に首切り自殺をして血の霧が立ち込めるカタストロフィや、自殺した女性が死霊と化してもなお黒服の美少年に恋焦がれ彷徨い続けるという、正に死びとが恋わずらいをする展開も実写で見てみたかったというのが本音である。

 「うずまき」同様、三輪明日美がヒロインの親友というポジションであり、物語の半ばで気持ちの良い狂いっぷりを披露してくれたかと思えば、その後に僅か数分だけの登場なのにも関わらずインパクト絶大なキチガイ演技妹を圧倒する三輪ひとみが登場したりと脇役勢も大変魅力的で、中でも担任の教師役の斎藤洋介がニタニタしながらスズメの繁殖について生徒たちに講義をしているくだりは、後の友松作品で顕著になる「どうでもいいウンチクで観客を煙に巻く展開の片鱗を見せていて興味深い。 尚、その後の後藤理沙といえば芸能界を引退したと思ったら復帰したり、タトゥーを入れたと思ったら美容整形したり、結婚したと思ったら離婚したり、舞台デビューしたと思ったらヘアヌード写真集を出したりと波乱万丈な人生を送った末、友松監督作のエロティックホラー「最近、喋々は…」の主演を務めることになる。どういう事情なのかそちらはソフト化されておらず、代わりに濡れ場の部分を大幅に増やして本編をズタズタにカットしたバージョンがMUTEKIレーベルより「欲望」というタイトルでDVD化されている。興味のある方はポカリスエットに舌鼓でも打ちながらズリネタのひとつに鑑賞してみるのも良いだろう。

 

 

辻占で現れる黒服の美少年の正体とは!?(松田龍平)       狂気の芝居が素晴らしい三輪明日美

 

 

 …と思ったら姉の三輪ひとみの方が遥かに凄かった   トンデモ過ぎる真相は必見。手前にいるのは友松監督?

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