ギョ

監督:平尾隆之

脚本:平尾隆之、吉田晃浩

出演(声):片岡未来、根岸拓馬、谷口亜美、
佐伯まさみ、安倍英貴

ストーリー

 女友達と共に卒業旅行で沖縄へ旅行に行く事になった華織。しかし、旅行先で足が生え死臭の匂いがする奇怪な歩行魚が現れ、更に巨大なサメの様な奇形魚にも襲われる。東京の忠に連絡をするも不自然に途切れたため心配になり、急遽東京に戻るも既に東京も歩行魚によって埋め尽くされていた…。

レビュー

 足の生えた魚が沖縄、東京に上陸し、やがては日本を壊滅へと導くイトジュンお得意のホラーとギャグの境界線を往来するモンスターパニックを映像化。しかも何をトチ狂ったのか70分のOVAで。アニプレックスとユーフォーテーブルが企画するアニメ文庫シリーズの1期として制作された本作であるが、他のラインナップが宇宙人のおにゃのこアンドロイドのおにゃのこが出てくる萌え系路線なのに、口と肛門に太い管を突っ込まれた人間がウンコを発射して攻撃してくるの本作がどうして混ざっているのかは不明。

 今回のアニメ化にあたって登場人物の設定に大胆な改変がされており、それが顕著に表れているのはヒロインの華織である。原作では序盤で歩行魚に刺されてガス菌に感染、ブクブクに太った姿で放屁を連発するゲテモノキャラへと変貌を遂げ、更には口と肛門に太い管を突っ込まれてひとりムカデ人間みたいな姿になった挙げ句に最終的には焼却されて骨だけになるというイトジュン漫画史上最悪の運命を辿るヒロインとなっていたが、本作では何と彼女が主人公を務め、代わりに彼氏の忠君がガス菌に感染してエライ事になってしまう。まさかの立場逆転であるが、そのせいで極度の潔癖性で高慢ちきな美女が世にも醜い姿になるという原作のキモが描かれなくなってしまったのが残念なところ。その代わりに美に固執する華織の友人がオリジナルキャラとして登場してはいるものの、典型的ビッチキャラでいまいちインパクトに欠けていたように思える。

 だが、登場人物の改変はあっても物語の本筋に大きな変更は無く、ホオジロザメが地上を猛ダッシュして襲ってくるブロディ署長もホールドアップなシーンや、話の腰を折るようにして登場するサーカス団によるイカれたショー、お手製の飛行ユニットで華麗に空を飛ぶ忠の叔父といった原作の名場面が、ハイクオリティなアニメとなって再現されている。中でも大ダコに襲われるシークエンスは前述した通り忠と華織の立場が逆転しているので、おにゃのこである華織の体を大ダコの触手が厭らしく締め上げるというちょっとしたサービスシーンにもなっている。というか、むしろコレをやりたいが為の立場逆転だったのではないかと思ってしまうのは勘繰り過ぎだろうか。

 結末は若干の変更点があり、華織を含む生存者が海外へと避難する為に船で出航するというものになっている。船に乗り込む直前、華織と同行していたカメラマンのオリジナルキャラが道中で歩行魚にやられた傷を見せて自分が感染していることを告白し、その場にとどまることを選択する展開は「ドーン・オブ・ザ・デッド」のラストと酷似しており、意外なところでニヤリとさせられてしまった。こういった原作からの細かい変更点がプラスに作用していたかと問われれば首を傾げざるを得ないが、イトジュン漫画初のアニメ作品というだけで非常に価値のある作品といえる。この調子でアニメ文庫シリーズには「地獄星レミナ」のような実写化がまず不可能なイトジュン漫画をどんどんアニメ化して欲しいものだ。

 

   

          足を生やした魚、歩行魚            歩行魚の群れは次々と上陸を開始。街は大パニック

 

 

   巨大タコも歩く!原作通りの展開かと思いきや…    主人公とヒロインの立場逆転により思わぬエロシーンに         

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