死霊のえじき

監督:ジョージ・A・ロメロ

脚本:ジョージ・A・ロメロ

 出演:ロリ・カーディル、テリー・アレクサンダー、
ジョセフ・ピラトー、リチャードリバティー

ストーリー

 死者と生者の数が逆転し、地上にゾンビが蔓延する世界となったアメリカ。フロリダ州郊外の地下基地では女科学者のサラを初め、少数の人間達が立て篭もり、ゾンビの研究と生存者の捜索を行っていた。科学者達は状況を打開すべく、ゾンビの研究に打ち込むが成果をあげることができず、軍人グループの指揮官・ローズ大尉はいらだっていた。圧倒的多数のゾンビに支配された世界で、数少ない人類は生き延びることができるのか…?

 レビュー

 人っ子1人いない荒涼とした街を、大量のゾンビが闊歩するオープニングがまず衝撃的。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」から5年、ゾンビと人類の数は完全に逆転してしまったようだ。その後は、閉塞感溢れる地下シェルターを舞台に、ロメロお得意のドロドロとした密室劇が炸裂する。無駄としか思えない研究を大真面目に続ける科学者グループ、暇さえあれば下ネタを連呼し、全ては暴力で解決できると考えている軍人グループ。こんな人間達が一致団結などできる筈も無く、彼らはひたすら口論を繰り広げ罵りあう。何とも救いのない未来である。こんな世界に放り込まれたら、間違いなく気が狂ってしまうだろう。

 そんな中、科学者グループにも軍人グループにも属さない、ヘリパイロットと無線技師の2人組みの存在はかなり異色だ。彼らは、どちらの仕事にも手を貸さず、“リッツ”と名付けたトレーラーハウスで自分達だけの楽園を創造している。そこで何をしているのかと思えば、ダラダラと酒を飲んでいるだけ。ゾンビと闘うことを完全放棄し、彼らは無人島で暮らすことを夢見ている。現実逃避的思想と言ってしまえばそれまでだが、彼らこそこの映画の数少ない“希望”と言っても良いだろう。

 もう1つの希望は“バブ”である。このゾンビだけは博士の命令に従順で、博士が死んだときには悲しみ、最終的には仇討ちまでする。もしかしたら、ゾンビと人間は共存できるのではないか、という冗談みたいな妄想すら抱かせてくれる。映画の内容がどうしようもなく暗い分、こういった希望を示唆させる存在が際立って見えてくる。個人的に、リビングデッドシリーズで最高傑作だと思うのだが、ロメロ御大がDVDのメイキングで「この映画好きな奴は変態」なんて言いやがりました。変態で結構!

 

ゾンビ集団に首をもぎ取られる兵士。やめてー

 

ゾンビも銃を撃つ時代になりました

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送