ゾンビズ・シティ

監督:ジョージ・オルグイン

脚本:ジョージ・オルグイン、キャロリナ・ガルシア

出演:キャミリー・リンチ、カリナ・ピザロ、
クリストバル・バラ、キャラリーナ・アンデラード

ストーリー

 南米チリの首都:リオデジャネイロ。世界中で発生したゾンビ・ウィルスにより、この街も例外なくゾンビに支配され、わずかに残った軍隊は、ゾンビと戦い続けていた。そんな荒廃し切った街を、母親が目の前でゾンビ化してしまった女の子:カミーユは、ゾンビ化した母親の最後の言葉を胸に、1人孤独にさ迷っていた。その言葉とは「災いから守ってくれるという“巨大なタコ”が棲む海に向かいなさい!」というものだった。彼女は、海に向かう道中で様々な光景を目の当たりにする。次々とゾンビ化する大人たち、肩を寄せ合う生き残った子供たち、軍隊のわずかな抵抗の姿等々。しかし、今の彼女には海に向かうことだけが唯一の希望だった…。

レビュー

 パキスタン、ギリシャ、セルビア…近年ではえ!そんな所で!?と言いたくなるような国でゾンビ映画が生産されているが、本作は何とチリ産のゾンビ映画。少女を主役にした超絶欝ファンタジー「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが大絶賛したらしいが、確かに不幸な境遇の少女を主人公に据えて、どことなくお伽噺を想起させるストーリー展開はギレルモの性癖…じゃなくて趣味に合いそうだ。恐らく予算的には低予算中の低予算であるが、色調をモノトーン風に落として無理矢理終末世界を演出したり、ゾンビ描写に和製ホラー的な要素を取り入れてゾンビ映画とは思えぬ不気味さを表現したりと、製作者の工夫が随所に施されて中々センスのある仕上がり。ただ、頻繁に挿入される回想シーンの多さと、子供が絶対にゾンビに襲われないという設定のせいで緊張感が持続せず、寝不足の時に鑑賞すると怒涛の勢いで睡魔が襲ってくるという点ではマイナス。

 主役の少女カミーユは、「海に行けば巨大なタコが守ってくれる」という母親の言葉を信じ、仲間と共に海へと向かう。子供たちは何故かゾンビに襲われることは無いが、代わりに軍隊が明らかな殺意を持って襲い掛かってくる。するとゾンビらは決まって子供たちを守るかのように兵士を襲い出す。クライマックス、逃避行の終着点である海にカミーユらが辿り着くと、母親の言葉通りに海から大ダコが登場し、軍隊のヘリを触手で叩き落とす。カミーユと友人は全身が真っ青になり、首にエラ、指には水かきが現れ、ニコニコ笑いながら海に向かって走って行き物語は終了。子供たちの正体は半魚人だった…いう全くオチてないオチであるが、どうやらこの作品はラブクラフトの「インスマウスの影」の影響下にあるらしい。そう考えると、大ダコは邪神ダゴンで、ゾンビウイルスは彼らインスマス人が人類を滅ぼす為にバラ撒いたという解釈も出来るし、軍隊が執拗以上に子供たちを狙っていたのも納得が出来る。「インスマウスの影」はスチュアート・ゴードンが「DAGON」というタイトルで映画化もしているので、そちらも併せて鑑賞するのもまた一興かもしれない。

 

子供たちの目線で語られるゾンビ映画というのも異色

 

このシュールなオチをどう受け止めるかで評価が変わってくる

 

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