トラックス

監督:クリス・トムソン

脚本:ブライアン・タガード

出演:ティモシー・バスフィールド、ブレンダ・バーキ、
ブレンダン・フレッチャー、エミー・スチュワート

ストーリー

 UFOに関する噂が絶えない軍事基地「エリア51」にほど近いネバダ州の小さな町。ある日、突如として無人のトラックたちが意思を持ったかのように走り出し、町の住人たちを襲いはじめた。トラックの襲撃をまぬがれた人々はドライブインのレストランに立てこもり、決死の脱出を計画するが…。

レビュー

 突如として無人で動き出したトラック軍団と、ガソリンスタンドに籠城した人々との攻防を描いたキングの短編を再映画化。余談だが、キング作品は“隔絶された場所で襲われる系”の話がやたら多い。「シャイニング」の舞台は吹雪の中のホテルだし、「ランゴリアーズ」は時空の狭間に落ちてしまった旅客機、「ミスト」は濃霧に包まれたスーパーマーケットを中心に話が展開される。究極ともいえるのが故障車に閉じ込められた親子が、凶暴化した大型犬に怯え続ける「クジョー」であるが、それとは逆にバカバカし過ぎて緊張感を感じる暇もないのが本作である。もっとも、キング本人も自分の書いた話がとんでもないヨタ話だということは承知していたのか、自らメガホンを撮って映像化した「地獄のデビルトラック」はおふざけ満載の凄まじいバカ映画に仕上がっていた。

 ところが、2度目の映画化となる本作は何を血迷ったのかシリアス路線まっしぐら。トラックが「ガソリン入れろ!さもなくば轢き殺す!」とモールス信号で命令してくるような話を大真面目に映画化するほどナンセンスなものは無いが、残念なことにブラックコメディを本格ホラーに昇華させるほどの力量が監督に無かったのと、予算の少なさが災いしてか、前作よりも更に出来の悪い、気持ちが良いくらいの失敗作になっている。

 無駄に多い登場人物とは対照的に脅威となる筈のトラックが僅か4台程度しか登場しないので、勝手に飛び出していって勝手に轢き殺されるオツムの弱い登場人物たちを延々眺め続ける苦行を強いられることになるが、そのガソリンスタンドの攻防とは全然無関係な場所で起こる郵便配達員がラジコンのトラックに惨殺されるくだりが本筋を軽く凌駕するインパクトを誇っており、この僅か数分のシーンこそが本編で、他はオマケみたいなものだと考えた方が良い。たった1台のラジコンに殺されるという、不条理な恐怖を描いたつもりなのだろうが、やはり監督の力量不足で実にマヌケでシュール極まりない絵面になっている。睡眠導入剤のような本編を早送りしてでも、このシーンだけは絶対に見るべきだと断言しておこう。

 

玩具のトラックに轢き殺される郵便配達員。シュール過ぎ!

 

何の希望も持てないオチも必見といえば必見

 

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