遊星からの物体X
ファーストコンタクト

監督:マティス・ヴァン・ヘイニンゲン

脚本:エリック・ハイセラー

原作:ジョン・W・キャンベル・Jr

出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、
ジョエル・エドガートン、ウルリク・トムセン、

ストーリー

 どこまでも雪と氷が広がる南極大陸。考古生物学者ケイトは、氷の中で発見された、太古の昔に死んだと思われる生命体の調査のため、ノルウェー観測隊の基地へと降り立った。しかし、“それ”は、まだ生きていた。調査の中、ケイトたちが解き放った物体は、狙いをつけた生物の体内に侵入、細胞を同化して、その生物になりすまし、自らの生存のため人間同士を争わせようとする宇宙からの生命体だったのだ。そしてケイトと12人の観測隊員たちは、氷に閉じ込められた南極基地の中で、突如人間から変形して襲いかかる“それ”の恐怖と、誰が“それ”に乗っ取られているのかすら分からない疑心悪鬼に巻き込まれていく…。

レビュー

 前作から30年経って公開された「遊星からの物体X」前日譚というよりは2度目のリメイク。もしくは「影が行く」の3度目の映画化。今作では前作で謎に包まれていたノルウェー基地の面々が全滅に至った経緯が描かれ、建物の構造や小道具の配置などが前作の通り再現されており、口うるさいカーペンター信者を黙らせることに成功している。バスタブのようにくり抜かれた氷塊、顔が2つある焼死体、焼け落ちた小屋、壁に刺さった血塗れの斧などの謎が本作で明らかになり、30年越しの(後付け)伏線回収大会が行われる。

 物語の運びとしては前作と大差なく、その代わりに物体Xの造形が最新鋭の技術を駆使して描かれている。アップになるシーンでは、アニマトロニクスを使用して前作を彷彿とさせる生々しさを再現しているが、素早く動き回るシーンではCGを多用している為か、どうにも重量感のないペラい動きになってしまっているので、ロブ・ボッティンの手掛けた物体Xには一歩及ばずといった所。余談だが、前作の物体Xに関してはボッティン自身も「どうやって作ったか分からない」とか抜かしてるので、前作のアレはオーパーツレベルの特撮だったのかもしれない。また、客寄せパンダとして配役されたメアリー・エリザベス・ウィンステッドがムサ苦しいオッサン連中に混ざって登場している違和感が最後まで拭えなかったのも個人的には残念だったポイント。「ファイナル・デッド・コースター」や「デス・プルーフ」に出演してた新世紀ホラークイーンとも言える女優だが、この物語に若いチャン姉なんぞは不要である。

 メアリー演じるケイトは、前作のカート・ラッセルとは違って聡明な生物学者なので、「物体X判別テスト」も血液に熱した針金を押し付けるような真似はしない。物体Xには人工物は同化出来ないという特徴があるので、みんなでお口をアーンして詰め物や銀歯が無いかをチェックするという方法で思わず「なるほど!」となったが、何だかビジュアル的にスッゲーつまんない検査なのでやはりカーペンター版の検査方法が良い(笑えるし)。ラスボスのダサ過ぎる造形に関してはファンの間で物議を醸しているが、それよりもその直前に披露される宇宙船内部のチープなSF描写こそが本作最大の失敗だったと思う。決して駄作では無いのだが、前作が傑作過ぎた為にダメな所ばかりが目立ってしまうチョット可哀想な映画。

 

カーペンター版とのリンクは完璧!

 

何とも微妙な宇宙船内部のデザイン

 

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