誕生日はもう来ない

監督:J・リー・トンプソン

脚本:ジョン・サクストン、ピーター・ジョビン、ティモシー・ボンド

出演:メリッサ・スー・アンダーソン、グレン・フォード、
シャロン・エイガー、ローレンス・デーン

ストーリー

 バージニアは、名門私立高校の優等生グループ“トップ・テン”の1人。4年前の事故によって前後の記憶を失い、時々恐ろしい幻覚症状を起こすようになっていた。そんなある日、グループのメンバーが次々に失踪する事件が起きる。犯人はグループを知っている何者かのようだった。時を同じくして、日増しに悪化するバージニアの幻覚。そしてついに彼女が18回目の誕生日を迎えた日、衝撃の事実と惨劇が起こるのだった!

レビュー

 ジョン・カーペンター監督作「ハロウィン」の大ヒットにより、各映画会社がバカのひとつ覚えのように「血のバレンタイン」やら「悪魔のサンタクロース/惨殺の斧」やら「エイプリル・フール/鮮血の記念日」やらといった記念日をテーマにしたスラッシャー映画を連発していたが、ついにカレンダーを見ても使える記念日が無くなってしまったので、苦肉の策として誰もが持っている記念日、誕生日をテーマとし、何故か監督に「ナバロンの要塞」のJ・リー・トンプソンを起用して製作したスラッシャー映画ブーム末期の迷作中の迷作

 とある名門高校の成績優秀者のみが集った「トップテン」なるグループのメンバーが謎の殺人鬼に次々と殺されていくという、スクールカーストの底辺にいた人間にとってはメシウマ過ぎるスラッシャーであるが、そのメンバーの1人である本作のヒロイン・バージニアが何やら過去に起きた悲惨な事故により脳に損傷を負っていることが判明した辺りから物語の雲行きが怪しくなってくる。まるで多重人格の疑いがあるバージニアが仲間を殺害しているかのような伏線が張られ、遂には顔を晒した殺人鬼がバージニアその人であることを証明するシーンまで登場。実は、脳の損傷はバージニアの誕生日会に誰も来てくれなかったことにブチ切れた母親がヤケを起こしたことで発生した交通事故が原因で、現在殺されているのは誕生日会をバックれたメンバーであることが判明。これで動機もハッキリしたが、この映画はそこから更に観客を翻弄する

 因縁のあるメンバーの死体を椅子に座らせてバージニアが1人ぼっちのお誕生日会を開く便所飯に匹敵する悲壮感漂う終盤。しかし、死体と一緒に犯人である筈のバージニアまでもが椅子に縛られているではないか。バージニアが2人?これまで殺人を犯していたのは双子だったのか??と思った矢先に取っ組み合う2人のバージニア。殺人鬼バージョンのバージニアの顔がベリベリッと剥がされ、そこに現れたのは中盤で殺害されたと思われたバージニアの親友のアン。彼女の父親はバージニアの母親と愛人関係にあり、そのせいでアンの家庭は崩壊。その復讐としてバージニアになりすまして殺人を犯し、バージニア本人に「自分が犯人なのでは?」と思わせ、彼女を精神的に追い込んでいたのだ…ってスゲー回りくどい復讐方法だな!

 その後、襲いくるアンを正当防衛で殺害したバージニアであるが、駆けつけた警官によって全ての殺人がバージニアのせいにされるという何ひとつ救いの無い結末を迎え物語は終わる。もはや誕生日との関連性は微塵も無い話であったが、エンディングで流れる「ハッピー・バースデイ・トゥー・ミー」は荒唐無稽な復讐劇で疲弊しきった脳細胞を癒してくれる名曲なので必聴である。本来ならオープニングでも流れる筈なのだが、何故か日本版のDVDでは全く面白味の無いスコアに差し替えられているので要注意!

 

シシカバブで殺害される超斬新なシーン

 

誰もが「???」となった衝撃のオチ

 

 

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