サンズ
SUN OF THE DEAD

監督:阿見松ノ介

脚本:阿見松ノ介

出演:みぶ真也、平宅亮、
夏守陽平、マズキ、自衛尊ナミ

ストーリー

  杭瀬孔助と横たわる少女。2人はあるビルの一室に閉じこもっていた。そこにドアを叩く音。怯える孔助。しかし、ドアを開けるとそこには夏山とナミのアベックが逃げ込んでいた。彼は怯えていた。何故、怯えているのか?一体何が…。そして娘 伊奈は眠っているのか、それとも死んでいるのか?

 会社のクビになった腹いせに専務の殺害計画を練った盾倉は、銃を信頼出来るルートから入手していた。そして、いよいよ会社に乗り込んだ、その時、会社のロビーでは事務員が何者かによってはらわたを喰われていた。その光景を目の当りにした盾倉もまた、あのビルの一室に逃げ込んで来た。偶然、出会った4人と横たわる少女。彼らを追い詰めたもの…それは!

 夜が明けると、ラジオやTVさえ繋がらなくなっていた。いよいよ、この世の終わりが来たと確信する孔助。そして外に出れない状態の続く中、ストレスは少しずつ4人の関係を壊し出していた。外には人肉を求め、彷徨う生きる屍たち。彼らに咬まれた者もまた感染する。そう、あのホラー映画のゾンビと同じ現象が日本で起こっているのだ。彼らはこのビルから脱出出来るのか?

レビュー

 チープな映画には違いないが、アイデアの勝利で駄作揃いの和製ゾンビ映画群の中では頭ひとつ抜きん出ている作品。下手にゾンビディザスターを描かずに舞台をビルの中に限定しているのも効果的だし、意図的に時系列をずらした構成も面白い。「ゾンビ自衛隊」「東京ゾンビ」「山形スクリーム」など、和製ゾンビ映画は往々にして脱力系の笑いに走る傾向があるが、本作は最後までシリアスに徹しているのも好印象。エキストラを大量に雇ったのか、終盤でゾンビがワラワラと沸き出るのもゾンビファンのツボを熟知していると思うし、ゾンビメイクを担当しているのが「VERSUS」の仲谷進なので、手を抜いていない気合の入った腐れっぷりが見られる。中でも犠牲者の1人が「死霊のえじき」のローズ大尉ばりに人体がぶっちぎれるのは拍手喝采であったが、出来ればもう少し明るい画面で見たかったというのが本音。

 タイトルにもなっている「サンズ」とは三途の川のこと。登場人物らは現実世界では不慮の死を遂げていて、彼らは全員、餓鬼の跋扈する死後の世界にいた…という本来ならば衝撃的である筈のオチが、冒頭の親切過ぎるテロップのせいで開始数分で読めてしまうのは大いにズッコケてしまったが、ありきたりなウイルスネタが定番になってきている昨今のゾンビ映画に辟易していた身としては、斬新なゾンビの解釈として非常に面白いと思った。未熟な俳優の演技力と、マズルフラッシュや効果音などのエフェクトのショボさが作品全体の足を引っ張っている印象があるが、それらにさえ目を瞑れば一風変わったゾンビ映画として楽しめる作品である。  

 

特殊メイクは「VERSUS」の仲谷進。見事な腐れっぷり

 

サンズ=三途。ナイスな発想だけどオチがモロバレなのが…

 

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