ナイトメア・シティ

監督:ウンベルト・レンツィ

脚本:ピエロ・レニョーリ

出演:ヒューゴ・スティグリッツ、ラウラ・トロッター、
マリア・ロザリア・オマジオ、フランシスコ・ラバル

ストーリー

 核物理学者ハーゲンベック教授を取材すべく空港に出向いたTVレポーターのミラー。しかし、突如そこに国籍不明の飛行機が飛来。機内から核汚染で突然変異を起こした人々が出現した。人知を超えた生命力を備えた彼らは、頭部を破壊されるまで決して死なず、警官隊の包囲を軽々と突破。都市部へと侵略を開始した。軍による戒厳令が敷かれる中、ミラーは女医をしている妻アンナを病院から救出、安全な場所を求めて逃避行を開始するが、ゾンビパニックは爆発的感染力で街を覆い尽くしていく。

レビュー

 80年代マカロニゾンビ映画の怪しげな魅力が堪能できる作品。本作を鑑賞した多くの人が同じ感想を抱くだろうが、とにかくゾンビが桁外れに強い。全力疾走は当たり前、刃物や銃器を軽々と使いこなし、航空機の操縦だってお手の物。おまけに頭まで良いので、生存者を発見したら野郎ども、こっちだ!みたいな合図を送って仲間を呼び寄せたり、生前に認知していたとは到底思えない方法で停止中のエレベーターを手動稼働させて中に閉じこめられている人を襲ったりする。何だかここまでくると、ゾンビに火炎瓶を投げつけて脱出用の車もろとも大爆発させてる主人公の方こそ頭にウジわいてんじゃないのかと思ってしまうが、結局全部主人公の夢オチという結末なので、釈然としない部分は全て「まあ、どうせこのオッサンの夢だし」の一言で万事解決出来てしまうという実に脳味噌に優しい映画なのである。よく考えたらこの映画、タイトルの時点でネタバレしてんじゃねーか。

 監督は「人喰族」でブロンド美女のオッパイを鉤吊りにしたウンベルト・レンツィなので、本作でもゾンビに襲われたナースがいとも簡単にオッパイをポロリさせたり、とっとと食えば良いのに押さえつけた女性の乳房をわざわざナイフで切り取ったりしていて相変わらずの胸フェチっぷりを披露。脚本を書いたのが、脚本があるとは到底思えなかった「ゾンビ3」と同じ人なので、 @ゾンビが襲ってきた→Aどっかのバカが惨たらしく死ぬ→@に戻る を延々繰り返すだけのふざけたシナリオなのだが、TV局、病院、教会、遊園地と目まぐるしく舞台が変わる構成はロードムービーの様な趣で意外と退屈はしない。「ゾンビランド」なんて古いぜ!

 ゾンビの発生原因が原発事故による放射能汚染という時点で、我々日本人としてはどうしても3・11時の福島原発を想起してしまうが、更に無視出来ないのが劇中での政府の対応だ。国民の混乱を避ける為に報道機関に圧力をかけ、ジャーナリストである主人公は真実を伝えられない。そうこうしている内に、何も知らない国民は次々と最強ゾンビの犠牲になり、被害が拡大していくのである。軍隊もお手上げのゾンビ騒動は幸運にも主人公の夢オチで終わるが、再び惨劇を予感させるシーンと共に映画は次のような一文で締め括られる。「悪夢が現実に…」レンツィが1980年にイタリアで描いた悪夢は、30年後の日本で現実のものとなってしまったのだ。

 

マシンガンを乱射するゾンビに軍隊もお手上げ!

 

「野郎ども、こっちだ!」と仲間を呼び寄せるゾンビ

 

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