クレイジーズ

監督:ブレック・アイズナー

脚本:スコット・コーサー、レイ・ライト

出演:ティモシー・オリファント、ラダ・ミッチェル、
ジョー・アンダーソン、ダニエル・パナベイカー

ストーリー

 細菌兵器を乗せた軍用機が、ある小さな町の川に墜落した。漏れ出したウィルスにより水を飲んだ人々は次々と凶暴化、平和な町はパニックに陥る。軍は事件を秘密裏に処理するため、住民を隔離し始める。保安官デヴィッドの妻も感染者とみなされ隔離されてしまった。彼は妻を助け出し、同僚のラッセルと共に町を離れようと決意する。潜伏期間は48時間。元は友人なのに凶暴化して襲いかかってくる感染者、大量の武器で町全体の焼却を迫る軍隊。果たして彼らは、この“狙われた町”から脱出できるのか…?

レビュー

 ジョージ・A・ロメロ映画のリメイクといえば「ドーン・オブ・ザ・デッド」「デイ・オブ・ザ・デッド」など、オリジナル版で強調されていた社会風刺のメッセージ性を大胆にカットし、単純なサバイバルアクションホラーへと転化させた作品が主流となりつつあるが、ロメロの説教がビシバシと炸裂していた「ザ・クレイジーズ」のリメイクである本作も、前述したリメイク作と全く同じ印象を持つ作品である。

 オリジナル版は一般市民と軍人、両方の視点から進行していたが、本作では一般市民のみの視点でコンパクトに収まっている。 ひたすら振り回されるだけだった消防士から正義感の強い保安官へと職業変更された主人公は、序盤で人間が凶暴化する現象の裏に軍が絡んでいることを察知し、更には飲み水が感染源であることも簡単に突き止めてしまう。そのせいか、オリジナル版の魅力でもあった最後まで何が起きているのか分からずに絶望的な逃避行を続ける生存者というリアリティある展開が見られなくなってしまったのが本作最大のガッカリポイント。

 感染すると狂人化するトリクシー・ウイルスに犯された感染者も、ご丁寧なことにゾンビばりの特殊メイク+殺る気満々の血走った目で襲ってくるので、一目で感染者と分かってしまうのもオリジナル版の魅力を何100倍にも薄めてしまっている。この物語の真の恐怖は、常人と狂人の境界線の曖昧さあると思っていたのだが、これではただの凡庸なゾンビ映画である。残忍な隔離作戦を実行する軍部の描写も「28週後…」に比べれば相当に生ヌルく、印象に残るのはオリジナル版にも出演していたリン・ローリー嬢の狂った熱演と、軍人や感染者に見つかったらアウトな状況なのにも関わらず、真っ昼間から道路を横一列に並んで歩く主人公グループか。

 

 何年経っても狂った演技が様になっているリン・ローリー

 

お前ら絶対隠れる気ないだろ

 

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