戦慄迷宮3D

監督:清水崇

脚本:保坂大輔

出演: 柳楽優弥、蓮佛美沙子、勝地涼、
前田愛、水野絵梨奈、松尾スズキ

ストーリー

 10年前、ある遊園地のお化け屋敷で行方不明になった少女・ユキが、雨の夜に突然帰ってきた。ケンとその友達モトキ、盲目の少女リン、ユキの妹ミユは戸惑いながらも彼女を迎え入れるが、突然ユキは発作を起こし倒れてしまう。5人は病院へと向かうが、辿り着いた普通の病院は次第に姿を変え始め、朽ち果て、まるで迷宮のような不気味で不可思議な空間となった。そこで5人は10年前の事件のある“事実”を身をもって体験・体感することになる…。

レビュー

 富士急ハイランドの大人気お化け屋敷を題材にしたホラー作品。10年前に忍び込んだお化け屋敷で、友人を置き去りにしてしまった過去を共有する4人の若者が体験する恐怖の一夜を描く、洋画の「ラストサマー」に代表されるような“因果応報といえば因果応報だが今更復讐しにくるなよ”系のホラー。ただ、本作が「ラストサマー」と大きく違うのは、その過去があまりにショッキングだった為か、全員が都合良く事件の記憶を失っている点にあり、登場人物らは記憶という名の迷宮を彷徨い、徐々に事件の意外な真相を思い出していくという構成をとっていることだろう。

 序盤の展開は全く先が読めず、成人になった昔の友人らが再会を喜ぶ中、置き去りにされ、そのまま行方不明になった筈の少女が突然現れるのが物語の起点となるのだが、その後、すぐに自宅の階段で足を滑らせて意識不明になってしまう。慌てて近場の病院へ搬送する一同だったが、着いた病院は人っ子1人居ない妙な所で、まるで廃病院。廃病院といえば富士急ハイランドの戦慄迷宮だが、まさしくそこは10年前に一同が忍び込んだ戦慄迷宮そのものであった…という荒業すぎる展開の後、お化け屋敷という巨大な密室を舞台に、姿をくらました少女が一同に様々な嫌がらせを行っていくのである。

 監督は「呪怨」の清水崇だが、本作に登場する少女の怨霊は白塗りでもなければ、変なポーズで階段をズルズルと降りてきたりもしない。怨霊の恐怖よりも、人間の内面の醜さを優先させた作風は清水作品の中では珍しいのかもしれないが、10年前のお化け屋敷で、幼い頃の自分たちを脅かしていた大人の正体が、実は10年後の自分たちだった、といった時空を超越したファンタジックな恐怖演出は、「呪怨 劇場版」で歪んだ時空により刑事と成長した娘が遭遇するシーンを始め、これまでの清水作品でも小出しにされてきた得意ネタである。また、空中に投げられたウサギの人形の中から少女の怨霊がコンニチワするシーンも、仏壇や床に落ちたカツラの下から伽耶子が出てくる名場面を彷彿とさせ、やはり人の入る余地の無い小さな物から無理矢理出てくる幽霊の姿はかなり笑えるということを再認識した。

 残念なのは、結局キチガイになってた主人公が全員を殺してた(けど実は…)という「感染」「サイレン」のような昨今のJホラーの定番ともいえる結末に落ち着いてしまった点と、実力派の若手俳優の中に1人だけ小太りのオッサンが混じってると思ったら柳楽優弥だったということだろう。「誰も知らない」の頃の面影はどこにもなく、正直彼の変貌っぷりがこの映画一番の戦慄であった。

 

 お化け屋敷に女の子を置き去りにするのはやめましょう

 

ウサギの人形の中からコンニチワの図

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送