屍病汚染
DEAD RISING

監督:稲船敬二

脚本:稲船敬二、池原澪実

出演: 吉田大輝、矢崎広、
安藤聖、尾上寛之、渋川清彦

ストーリー

 全世界を恐怖に落とし込んだ、あのウィラメッテ事件後、ゾンビ化=屍病汚染は世界各地へ­と飛び火した。アウトブレイクが起こった地域に対し、各国政府は厳しい対応を実施。該当エリアの住民­を隔離する策を取る。閉じ込められた人々は、脱出を図ろうとする者、建物に閉じ籠もる者、いずれも自分­の存在をかけて戦うこととなる。そう、ここ日本でも…シンとジョージの兄弟は、不幸にも隔離された地域に取り残された住民であった。物語は­、2人がこの閉鎖されたエリアから脱出を試みるところから始まる…限りなく不可能­に近い脱出行。ゾンビがさまよう街から、2人が身を守る為に逃げ込んだのは、とある倉庫街だった…

レビュー

 カプコンがXBOX360で発売したゾンビゲーム「デッドライジング」の映画化。ゲームと同様に稲船敬二監督がメガホンを取っている。大量のノロノロゾンビが蔓延るショッピングモールを舞台に、とにかく3日間生き延びることを目的としたゲーム本編は、頭の固いロメロ原理主義者の心をも華麗に撃ち抜き、ロクなゾンビゲームが作られずに悶々としていた世界のゾンビヲタの心の海綿体を充血させたことでも有名で、芝刈機やチェーンソー、レコード投げといった、過去のゾンビ映画の名シーンを再現出来るのもポイントが高かった。

 そんなゾンビ映画ファンのツボを熟知している稲船監督が念願のゾンビ映画を撮ると知ったときの喜びは、一言では語りつくせない。勿論、予算が無いことは百も承知だ。「ゾンビ」のような大作などはハナっから期待していない。それでも、屑揃いの和製ゾンビ映画に新風を巻き起こすような作品が生まれることを密かに確信していたのだが、残念なことに出来上がった代物はゾンビ映画ですらない、ただの粗大ゴミであった。

 人間をゾンビに変える“屍病”が蔓延する日本を舞台に、ある兄弟の逃避行を描いたストーリーなのだが、話のメインとなるのは兄弟が逃げ込んだ倉庫に立て篭もっていたチンピラ3人組との戦い。兄貴の方はボコボコに殴られた挙句に呆気なく射殺されてしまい、途中で逃げ込んできたヒロインの看護師もアッサリと捕えられ、とにかくネチネチとチンピラにいたぶられる。体の至る所をゾンビの餌にされ、度重なる暴行の末に最後はフェラチオまで強要されるというとてもヒロインとは思えない散々な扱いを受けるのは驚いたが、稲船監督の目的は人間の狂気を徹底的に描くことだったのだろう。だが、そういうものは序盤でゾンビの恐怖を存分に描写した上で、更にそれを凌駕する人間の恐ろしさ・醜悪さを描くから効果的なのであって、ゾンビもロクに出てこないうちに頭のおかしな人間を出されても観客の心には何も響いて来ない。

 終始隠れ続けていた車椅子の弟がヒロインを救出する為に、自らの車椅子をハリネズミのように改造するゲーム版とコラボした展開は面白かったが、ここでも彼がゾンビの群れに突っ込んでいくシーンは効果音のみでスルーされ、3人組のリーダー各を完膚なきまでに叩きのめすシーンがPOV視点でしつこく描写される。ゾンビが全然出てこないゾンビ映画ほどガックリ来るものは無いが、DVDで追加されたラストシーンは、唯一生き残った弟がフラフラと外を歩いていたらゾンビと間違えられ額をズドン!という、まさかの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」オチ。終り良ければすべて良し!とはいかず、不思議と怒りしか込み上げてこないのは何故だろう…。

 

 

こんなシーンが延々と続く映画 

 

改造車椅子でいざ勝負!相手はゾンビではなく人間

 

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