ゾンビ2009

監督:ヴィンセント・ドーン

脚本:ジョヴァンニ・パオルッチ、アントニオ・テントーリ

出演: イヴェット・イゾン、アルヴィン・アンソン、
ポール・ホーム、ダイアン・クレイスタン

ストーリー

 救助船“ダークスター”の爆発事故から半年、奇跡的に生還したシャロンは、僧として人生を送っていた。そんなある日、彼女のもとに巨大製薬会社タイラーのポール・バーカーが現れる。彼は、半年前の事故の原因である“ゾンビに埋め尽くされた島”を発見したというのである。更に、タイラー社が所有する島に、その島のゾンビを新薬研究のため、移動させたと続ける。だが、移動させた島との通信が途絶え、連絡が取れない状況であり、シャロンにコンサルタントとして、救助チームに従軍してほしいというものであった。悩んだ末、彼女は部隊とともに島へ向うのだが…。

レビュー

 「ゾンビ」を大胆にパクった「ヘル・オブ・ザ・リビング・デッド」を世に送り出し、「サンゲリア2」撮影中に猛暑でバタンキューしたルチオ・フルチの代役を務めて「バタリアン」そっくりの映画を完成させたヴィンセント・ドーン監督渾身の遺作。人生最後に彼が作ったゾンビ映画は、「エイリアン2」のエイリアンをゾンビに差し替えただけの壮大なゴミ映画だった。舞台設定や物語の構成、登場人物のキャラ付けや台詞、果ては行動に至るまで、その全てが「エイリアン2」と一緒という臆面の無さ。2007年制作なのに1986年の映画を平気でパクったヴィンセント・ドーンの腐りきった根性に一発蹴りをかましてやりたい気持ちでいっぱいだが、この監督のオリジナリティの無い作風は別に今に始まったことではないので目を瞑るとしよう。元ネタが元ネタだけに、これだけ徹底的に真似すれば少しぐらい面白い映画が出来そうなものだが、全くそうでないところがヴィンセント・ドーンの凄いところ。そういえばこの男、「プレデター」のプレデターを食人族に差し替えただけの「食人族3 食人族vsコマンドー」なんてのも作っていたが、そちらも同様に全く面白くなかった

 意外と少ない、軍隊とゾンビの対決を真っ向から描いた貴重な作品であることは確かだが、尋常ではないほどのテンポの悪さと、演技の出来ない俳優らが「エイリアン2」の秀逸な脚本を木端微塵に粉砕し、エイリアンみたいにスピーディーに動けないゾンビたちが、どう見てもオモチャで武装したバカ面の軍人らをノロノロと襲撃する緊張感のクソもない退屈映画になってしまっている。唯一の救いになっているのは、マカロニ・ゾンビ映画らしく血飛沫や内臓がグチャグチャと画面を飛び交うことと、やたらとオッパイが出てくることくらいか。「サンゲリア2」でも見せた胎児のゾンビが妊婦の腹を突き破ってオンギャーッする持ちネタも健在で、クライマックスに登場するゾンビ製造工場の地獄絵図(クイーン・エイリアンのアレのパクリ)には、特殊メイクのチープさも相まって、頭がクラクラするほどに汚らしい。汚い映画ばかりを連発しているヴィンセント・ドーンの集大成という意味では、傑作といっても過言ではないのかもしれない。

 ちなみに、スタッフロール直前に元気な頃のヴィンセント・ドーンの映像が流れ、「監督の冥福を祈る…」というテロップが挿入されるが、日本語吹き替えで鑑賞すると「ワガハイもゾンビになって蘇ってくるさ!HAHA!」みたいな本人の意志とは確実に無関係であろう、不謹慎極まりないセリフが聞けたりもする。監督、ゾンビにならなくて良いから、どうか安らかにお眠りください。天国、いや地獄でフルチと仲良くね。

 

ゾンビ版「エイリアン2」なんて素敵やん

 

 

妊婦の腹からコンニチワの図         

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送