妖怪奇談

監督:亀井亨

脚本:亀井亨

出演:伴杏里、宮光真里子、市川春樹、
松生亜希子、いか八郎、桜井聖

ストーリー

 ひどい首の痛みに悩まされていたモデルの山根美智子は、撮影中に倒れ病院に運び込まれる。同室の女子高生である佐伯マナは夜中に美智子の首がどんどん伸び、“ろくろ首”になってしまうのを目撃するが、動揺はしなかった。実は、彼女の耳や目もふさがり始め“のっぺらぼう”のように変化し始めていたのだ。一方、ネイルアートにはまるフリーターの岩崎みひろは、自分の爪が急速に伸びる現象に悩まされていた…。

レビュー

 タイトルといいキャストといい、何かどうしようもない感じの映画かと思いきや、中々どうして、意外な面白さを持つ異色の妖怪映画じゃありませんか。妖怪映画といえば妖怪全盛期の江戸時代が舞台だったり、舞台が現代でもお子様との交流を描いたファンタジーものだったりと、本格的なホラーには転化させ辛いジャンルではあるが、本作ではいとも簡単に、妖怪映画を現代風のJホラーにアレンジしてしまっている。それも、「口裂け女」や「人面犬」といった、誕生したのが最近の都市伝説型妖怪ではなく、古来から伝わる「ろくろっ首」や「かまいたち」「のっぺら坊」などを扱っているのが、私のような妖怪好きの心を擽っていて好印象。妖怪フェチには必見である。

 物語は「ROKURO」「KAMAITACHI」「NOPPERA」の3話からなるオムニバスで、いずれもちょっと屈折した性格を持つ女の子の体が、少しずつ妖怪へと変異していく闘病モノのようなストーリー。ある日突然首がビニョーンと伸びだしたり、数日で爪がフレディばりに長くなったりと、普通に考えて病気とかそんなレベルじゃねえだろと誰もが思うだろうが、彼女たちは意外とすんなりと自分の症状を受け入れ、何とかいつも通りの日常を過ごそうと努力する。爪が異常に長くなった女の子はネイルアートを施してファッションだと言い張り、顔面が歪な形に変化した女子高生は、眼帯をして両耳をヘッドフォンで塞ぎ、まるで何事も無かったかのように生活をする。しかし、そんな彼女たちの思いとは裏腹に、体の変化は次第にスピードアップ。ちょっとした腕の動作だけで仕事仲間を切り刻んでしまう「かまいたち」や、もはや誤魔化しようのないくらいに顔面が崩壊し「のっぺら坊」へと変異してしまうのだ。

 この3話は絶妙にリンクしていて、ネタバレをすると、彼女たちはラストで偶然にもお互いを助け合うことになっている。電車で忌々しい爪を轢かせようとしていたかまいたち女を、ろくろっ首女が首をウニョーンと伸ばして自らの命を犠牲にして助けたり、既に存在しない耳にヘッドフォンを装着し虚空に向かって叫び声を上げていたのっぺら坊女子高生を、かまいたち女が優しく抱きしめたりと、各話の人間ドラマが非常にドロドロとして醜かっただけに、この結末には何だかカタルシスを感じてしまう。劇中のどの登場人物よりも人間臭さを感じてしまう彼女たち=妖怪の行動に、貴方は何を思うだろうか。

 

 「かまいたち」に変化するネイルアート好きの女の子  

 

性格のひん曲がった女子高生は「のっぺら坊」に

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送