サムライゾンビ

監督:坂口拓

脚本:北村龍平

出演: 植田浩望、夏目ナナ、やべきょうすけ、
中島愛里、いしだ壱成、荻野目慶子

ストーリー

 逃亡中の強盗犯が、ドライブ中の家族を襲いカージャックし、山道の奥へと車を走らせる。立入禁止区域の鉄柵を突破して、更に進んだ車は、戦国時代からの忌まわしい因縁に祟られた禁断の土地に足を踏み入れ、封印を解いてしまう。やがて彼らの前に人間の生首を狙って、鎧を身にまとい、全身腐乱したおぞましい落武者=サムライゾンビが姿を現した。犠牲者の鮮血がその土地に降り注ぐたびに、一体、また一体と増殖していく…。次々と襲い掛かるサムライゾンビは、銃弾を浴びせても、車でひいても倒すことは出来ない。不死身のゾンビ軍団を相手に、果たして人間たちに生き残るチャンスはあるのだろうか?!

レビュー

 監督・坂口拓、脚本・北村龍平の「VERSUS」コンビ制作の和製ゾンビ映画とくれば期待するなというのが無理というもの。予告も最高に面白そうで、腐乱した落武者ゾンビの大群を、荒くれ者どもが重火器とガチアクションで次々と捻じ伏せていく血で血を洗う壮絶なアクションスプラッターを盛大に妄想し、意気揚揚としたテンションでシアターNに朝一で出掛けたまでは良かったが、その中身とやらが予想の遥か斜め上を行く珍妙極まりない代物で、何とも複雑な心境で土砂降りの渋谷をトボトボと帰宅したことは記憶に新しい。

 サムライゾンビの数は全部で3体しかいないし、アクションシーン自体も「VERSUS」に比べると少ない。ストーリーは絶望的で救いのない、後味の悪い怨念モノだが、そこに緊張感を削ぐようなギャグシーンが随所に挟み込まれ、シリアスとギャグの狭間を行ったり来たりする。いしだ壱成が演じたイカれた男の役柄も意味不明で、銃で撃たれようが車で轢かれようが高所から落下しようが平然と生きていて、事あるごとに「死んじゃうじゃん!」の台詞を連呼するゾンビ顔負けのタフガイ野郎なのだが、その耐久性を活かすこともなくサムライゾンビと対峙した際は呆気なく首を刎ねられフェードアウト。クソの役にも立ってない。サムライゾンビに殺された警官の生首と右手が宙を舞って空中で敬礼のポーズになるのも笑えるには笑えるが、緊張感を削いでいるので完全に不要だった。パンフレットを読む限りでは、北村龍平はシリアスな正統派ホラーを想定した脚本を書いたらしいのだが、そこに監督の坂口拓による悪ノリが加味されてしまい、ホラーでもギャグでもない、何がしたかったのかサッパリ分からない珍作が完成してしまったらしい。戦犯は坂口拓である。

 ゾンビは3体しかいないものの、余計なギャグシーンを除けば本作は日本を代表するゾンビ映画の傑作になったような気もする。これまでの和製ゾンビ映画が、「JUNK」にしろ「STACY」にしろ、海外のゾンビ映画から名場面を拝借したパッチワーク的な作品ばかりであったのに対し、怨念で蘇った鎧武者のゾンビが廃村を徘徊するという本作は、日本ならではの舞台設定が活きていてオリジナリティがある。何をどうしても絶対に倒せないサムライゾンビに、女子供も容赦なくぶっ殺されるストーリーは、ゾンビ映画ならではの絶望感を感じさせるし、完全な悪党に成りきれない強盗カップル、銃器マニアの警官コンビ、子供らを守る為に1人奮闘する人質一家の母親など、個性溢れるキャラが揃っているのも飽きさせなくて良い。好きか嫌いかで言ったら、間違い無く好きな映画であることは確かだが、色々と勿体無い部分が多すぎて残念な感じの作品である。

 

撃っても撃っても撃っても倒せないサムライゾンビ! 

 

ウジ湧き肉踊る御尊顔

 

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