パラサイトX

監督:オーレ・ボールネダル

脚本:オーレ・ボールネダル、ヘンリク・ブリッブ

出演: パプリカ・スティーン、ウルリク・トムセン、
ヨナス・バントゥシュナイダー

ストーリー

 小学6年生のカールのクラスに、病気の担任の代理でウーラと名乗る女がやってきた。彼女の厳しい授業、狂った言動にクラスの多くの子供が不信感を抱き、両親たちは学校側にウーラの辞任を求めるも、彼女を擁護する教育大臣の説得により大人たちはすっかり騙されてしまう。しかし、カールは見てしまった…不気味に浮遊する銀のボールにウーラが手をかざすと、そのボールは滑らかな合金が姿形を変えるかのごとく人型に変形し、教育大臣になったのだ。彼女は人間ではなく、宇宙からやって来た謎の生命体にパラサイトされた宇宙人だったのだ。ウーラの本性を見抜いてしまった子供たちに、パラサイトの魔の手が忍び寄る…。

レビュー

 「パラサイト」に便乗した邦題と適当に作った感じのジャケットでかなり損をしているが、「ミミック」や「ナイトウォッチ」を手掛けたことで知られるオーレ・ボールネダル監督の作品なのでクオリティは高い。世にも珍しいデンマーク産のエイリアンスリラーだが、まったりとした独特のリズムで進行する物語は、とにかくテンポの速いハリウッド産SFホラーとは違った面白さを感じさせる。ロドリゲスの「パラサイト」が高校生グループを主人公に据えていたのに対し、こちらは小学生グループが団結してエイリアンと対決するというのも、何だかNHKの少年ドラマシリーズみたいで親しみやすい。

 エイリアンが寄生するのは子供らの担任の代理として来た女教師であり、彼女は着任するや否や生徒の考えていることを次々と言い当てる超能力を披露して早くも子供達をドン引きさせる。その後、「あなた達は腐ったミカンです!」と説教をしたかと思えば、全員を海外留学させるべく戸塚ヨットスクールばりのスパルタ教育を実施し、子供達の不信感を増大させる。一体、何故そんなことをするのかといえば、エイリアンの目的が地球侵略ではなく、優秀な地球人を自分の星へと連れ帰ることだから。交尾の後に雄を食い殺すというカマキリみたいな習性を持つエイリアンにとって、地球人特有の「愛」という感情は貴重な研究材料になるという設定は実に面白い。

 対抗する生徒達もメガネのガリ勉や、お節介な委員長の女の子、デブのガキ大将に出っ歯なお調子者と、ジュブナイルモノの王道ともいえるキャラ分けがされていて、物語を盛り上げている。母の死を受け入れられなかった主人公の少年が、今回のエイリアン騒動を経て、母への依存を断ち切って人間的に大きく成長するストーリーも、凡庸なSFホラーとは一線を画していて印象深い。ゴア描写やショックシーンといった派手さは皆無だが、個人的には「パラサイト」よりも気に入っている映画だったりする。

 

赴任してきた女教師はエイリアンだった!

 

 

劇中で唯一エイリアンっぽいことをするシーン

 

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