呪怨
黒い少女

 

監督:安里麻里

脚本:安里麻里

出演:加護亜依、瀬戸康史
中村ゆり、高樹マリア、松本花奈

ストーリー

 看護婦の裕子は、芙季絵という少女の担当を任されてから、奇妙な体験をするようになる。検査の結果、芙季絵の体内に嚢腫が発見される。生まれてくることのできなかった者の怨みが少女を蝕み、やがて周囲の人々を呪っていく。裕子の隣人は黒い少女によって捉えられ、芙季絵の父は殺人を犯し、狂っていく。芙季絵の母・季和子は霊能力を持つ妹・真理子にすがり、除霊は成功したかに思えた。しかし、それは最悪の「呪怨」の始まりだった…。

レビュー

 「呪怨 白い老女」と同時上映されたNOT清水崇の「呪怨」。本作で驚異となる幽霊は伽椰子でも俊雄でもバスケットババアでもなく、監督の安里麻里が「新耳袋」で担当した「ふたりぼっち」のエピソードで、うすら寒い恐怖を感じさせた全身黒塗り幽霊の少女版である。幽霊は白い、という概念を覆した「ふたりぼっち」の全身黒塗り幽霊は目から鱗だったので、さぞかし本作も怖い映画に仕上がっているのかと思いきや、それが意外とそうでも無かったのが残念な所か。一番の理由は、黒塗り幽霊が現れるのが主に暗闇のシーンなので、暗い場所に黒い幽霊が浮かんでいても見辛いだけで怖くも何とも無いということだろう。

 恐怖度こそ「呪怨 白い老女」に軍配が上がるが、ストーリーでいえば本作の方がよく練られており、何より怨霊の正体が生きている少女の胎内に留まっている畸形嚢腫というのがかなり斬新だ。畸形嚢腫というのは、産まれて来る筈だった双子の片割れの脳や手足、内臓といった人体のパーツが、生まれた方の片割れの胎内にコブとなって収まっている症例を指すもので、早い話がブラックジャックのピノコである。産まれて来れなかった片割れの怨みが呪怨となって、少女の家族や看護婦といった関係者、更には全然無関係な人達まで巻き込んで行く不条理極まりない物語は正しく「呪怨」そのものであり、伽椰子不在でも続編が作れることを十二分に証明している。

 他にも、終盤で霊媒師の美人女性が颯爽と登場し、少女の胎内に巣食う怨霊にガチで戦いを挑むのも「呪怨」シリーズでは珍しい展開であり、「エクソシスト」を盛大にパクった除霊シーンはクライマックスを盛り上げている。「トワイライトシンドローム デッドゴーランド」でも安里監督はケレン味のあるクライマックスを用意していたが、この人はホラーよりもアクション映画が向いているのかもしれない。それはともかく、少女の胎内に巣食う怨霊を除霊したつもりが、生きている本体の少女を除霊してしまいました、というアッチョンブリケなオチは予想通りというか、ホラー映画に於けるこの手のキャラは噛ませ犬という法則に則った実に正しい結末であった。

 そして、肉体を得ることに成功した怨霊が霊媒師の家を襲撃し、正拳突きで霊媒師のドテっ腹に風穴を開け、彼女の家族をも惨殺するのだが、この惨劇の舞台となっている家が「呪怨 白い老女」で司法試験に失敗した青年が一家を皆殺しにするあの家と同じ場所だというのも面白い。本作で命を落とした霊媒師一家の怨念が呪怨となり、後に住むことになる青年の精神を蝕んでいった…ということなのだろうか。


 

煙草を吸って芸能界を干された加護ちゃんも黒塗り少女の餌食に!

 

 

霊媒師vs畸形嚢腫の怨霊!エクソシストしてます

 

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