ダイアリー・オブ・ザ・デッド

監督:ジョージ・A・ロメロ

脚本:ジョージ・A・ロメロ

出演:ミシェル・モーガン、ジョシュ・クローズ、
ショーン・ロバーツ、エイミー・ラロンド

ストーリー

 大学の映画学科に通うジェイソンは、ペンシルバニアの山奥で仲間と共に卒業製作のホラー映画を撮影していた。スケジュールは何日もオーバーしており、役者もスタッフも疲れていた。そんな時、ラジオから衝撃のニュースが流れた。世界各国で死体が息を吹き返し、生きている人間を襲い始めたというのだ。山を下り、信じられない光景をを目にしたジェイソンたちは、死人が人間を襲う様子を全て撮影することを決意するのだった。

レビュー

 ジョージ・A・ロメロが20日間で作り上げた低予算のゾンビ映画。「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」から始まるリビングデッドサーガの続編というわけでは無く、ゾンビ発生初期の騒動を学生グループの視点から描いた原点回帰的な作品となっている。「REC/レック」や「クローバー・フィールド/HAKAISHA」と同様のPOV作品ということだが、そこは流行に流されないロメロ大先生。単なるPOV作品では無く、登場人物が2台のビデオカメラで撮った映像をPCでカット割りし、BGMやナレーションまで付けたという設定なので、撮影した映像を手ぶれ全開で垂れ流す今までのPOV作品とは一線を画しているのだ…って、それなら別にOVじゃなくて良くね?というツッコミはロメロ大先生に失礼なので絶対に禁句!

 ゾンビばっか撮り続けてウン10年のロメロ先生。これまでにも、タンバリンを首にぶら下げた僧侶のゾンビや、チャカをブっぱなして仇討ちするゾンビ、花火に見とれるゾンビなど、革新的ともいえるゾンビーズを量産してきたゾンビキングあの映画のことじゃない)の彼だが、今回のゾンビ達は発生初期のいわば進化前の段階なので、オーソドックスに足を引き摺りながらヨタヨタと徘徊する基本タイプで、前作のビックダディみたいな人情派は1匹たりとも登場しない。だが、ゾンビ退治の方法に趣向を凝らしたものが多く、心肺蘇生に使うAEDの電気パッドをゾンビの頭に挟んでボンッ!したり、硫酸を頭から被ったゾンビが、頭皮→頭蓋骨→脳ミソと徐々に溶解していった末にバタンキューしたりと、相変わらずロメロの引き出しの多さには驚かされる。

 前作では主人公含めて無個性揃いだった登場人物も、本作では何だか大変なことになっていて、アーチェリーを匠に使いこなすアル中の大学教授や、前ふり無くダイナマイトを放り投げるアーミッシュなど、主にジジイ連中に濃い奴らが揃ってるのは、まだまだ若造には負けられんわい、というロメロお爺ちゃんの気持の表れなのかもしれない。また、何が起きても絶対にカメラを手放さない主人公のジェイソン君もかなりの面白キャラで、「ゾンビは死体なんだから、走ったら足がもげるに決まってるだろ」という近年のゾンビ映画を全否定する名台詞には拍手を送りたくなった。そんなコミカルなキャラを登場させつつも、「ブログや動画投稿サイトで個人が発信する情報さえも、メディアの一部になり得てしまう現代社会の危うさ」というロメロらしい社会風刺がビシッと効いていて、相変わらず鑑賞後にスッキリとしない気持ちにさせるお手並みは流石である。

 

 

難聴のアーミッシュ。このジジィがハンパ無い

 

背中のゾンビもろとも自分の頭に鎌をグサリ。無理だろ!

 

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