28週後...

監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ

脚本:ファン・カルロス・フレスナディージョ

出演: ロバート・カーライル、ローズ・バーン、
ジェレミー・レナー、イモジェン・プーツ

ストーリー

 感染すると凶暴性を引き起こし、ほかの人間を襲うようになるレイジ・ウイルスが猛威をふるう中、ドンは妻のアリスらと山荘に籠っていた。ある日、子供を追ってきたウイルス感染者たちに襲撃され、アリスは退路を断たれてしまう。ドンはそんな妻を見捨て、命からがらボートで脱出する。そしてウイルス発生から28週後、ロンドンでは軍の厳重な監視のもと、再建が始まっていたのだった。

レビュー

 「28日後...」の続編である。ロバート・カーライル演じるダンが自分の嫁のアリスを置き去りにし、感染者から逃げるオープニングがいきなり衝撃的。晴れやかな草原を死に物狂いで全力疾走するダンの姿は、前作のラストシーンで残した爽やかな余韻すらも徹底的に破壊する。夫婦愛なんてものは、生きるか死ぬかの終末世界においては邪魔なものでしかないのだ。愛なんていらねえよ、終末。この映画は、見事なまでに愛を全否定している。

 ウイルスの脅威は沈静化し、生存者達は米軍の管理する施設へと収容される。そこでダンは娘と息子に再会し、アリスの死を伝えるが、まさか子供たちにお母さんを見捨てて逃げちゃいました☆なんて言えるはずもなく、何ともぎくしゃくとした気まずいムードが一家を包む。母親の思い出を求め、施設を飛び出し我が家へと向かった姉弟は、そこで衝撃の事実を知る。驚くべきことにアリスは命からがら感染者の集団から逃げ出し、今まで生き延びていたのだ。施設へと収容されたアリスに、自罰意識に苛まれたダンが熱い接吻を交わすシーンは、通常の映画であれば、和解を示す為の感動的なものとして用いられるのがお約束であるが、この映画の監督は愛を全否定するとんだ鬼畜野郎なので、実はウイルスのキャリアだったアリスからダンへと感染が広まるヒトデナシな展開になる。愛の代わりにウイルスを受け取ったダンは即効で発症。愛する妻をフルボッコに殴り倒し、最終的には両目を親指で抉ってトドメを刺すのだ。

 感染は施設内で次々と広まり、米軍は感染者、非感染者の全員を皆殺しにする鬼畜作戦・コードレッドを発令。ナパームで住民が次々と焼き殺される中、姉弟を含む生存者達はロンドンから脱出を試みるが、感染者と米軍の猛襲は止まらない。ゾンビだけでも十分厄介なのに、更に米軍からも追跡される彼らが気の毒でならないが、元はといえば姉弟の余計な行動で施設が壊滅したようなものなので、割と因果応報といえなくもない。そんなバカ姉弟に余計な情を持ってしまった生存者たちは容赦なく殺され、ついには弟までもがゾンビに噛まれて感染してしまう。しかし、母のアリスと同じ遺伝子を持つ弟は発症することなくウイルスのキャリアとなり、2人は奇跡的にロンドンを脱出するのだが、何とその後、2人を乗せて飛び立ったヘリの残骸と、感染者で溢れ返るフランスが映し出され映画は終わる。アリスとダンに起こった悲劇と同じことが、ここでも繰り返されてしまったのだ。姉弟を命懸けで助けようとしていた生存者達の行動を呆気なく否定する、あまりに衝撃的な結末である。

 救いのない陰鬱としたストーリーの中にも、ヘリコプターのプロペラでゾンビの大群をミンチにする爽快な場面があったりと、物語の緩急の使い分けが実に巧みな映画である。ゾンビ討伐にヘリのプロペラが使用されるのは「ゾンビ」のDC完全版や「デモンズ」、近年では「プラネット・テラー」でも見られたが、ここまで本格的な超絶スプラッターで描いたのは恐らく初であろう。鮮血の霧がド派手に舞い散るそのシーンは、コマ送りにして見ると結構エゲツない人体破壊描写が目白押しなので、ここだけでも一見の価値アリ。

 

 

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