TーREX
ティー・レックス

監督:ジョン・カール・ビュークラー

脚本:ジョン・カール・ビュークラー

製作総指揮:ロジャー・コーマン

出演:ジェフ・フェイヒー、トニー・トッド、
ディー・ウォーレス、アレクサンドラ・フォード

ストーリー

 大手企業カルゴリン社は、史上最大の研究成果を発表しようとしていた。なんと遠い昔に絶滅した恐竜、しかも肉食恐竜最強といわれるティラノサウルスを遺伝子操作によって甦らせたというのだ。「“ヤツ”を創造したことで、万物創生の可能性を証明した」そう言い放つ研究チーム。しかし研究チームの一人である天才科学者パーカーは遺伝子操作の恐ろしさを懸念していた。そんな矢先に、“ヤツ”が極秘で飼育されている研究所に、7人組の産業スパイ集団が押し入る。狙いはパーカー博士の研究レポート。集団を率いるラドクリフは、潜入捜査を行うため全てがコンピュータセキュリティで管理されている研究所のシステムを解除してしまった…。しかしそれが悪夢のはじまりだった。“ヤツ”を閉じ込める頑丈なセキュリティも一緒に解除されてしまったのだ!現代に甦った最強肉食恐竜ティラノサウルス、1万年におよぶ沈黙を破り大都会コンクリートジャングルで雄叫びをあげる!

レビュー

 例によって製作総指揮はコーマン。ジェイソンと超能力少女をバトルさせた経歴のあるジョン・カール・ビュークラーが監督と脚本を務め、主演俳優がトニー・トッドとディー・ウォーレスという、またしても華があるんだかないんだか分からない面子が集結して出来たTVムービー。今回登場する恐竜は1匹のティラノサウルスのみであり、遺伝子操作で生まれたコイツを飼育している研究施設にテロリスト集団が侵入し、館内全てのセキュリティを解除したが為にティラノサウルスが脱走してしまい、街にいる無関係な人間が次々と補食されていくという「ダイ・ハード」に「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」の終盤部分を無理矢理ねじ込んだようなストーリーとなっている。ちなみに、ティラノ君が人間を食うシーンの大半が「ダイナソークライシス」からの流用なのだが、一体、コーマン御大は「ダイナソークライシス」からの使い回しで何本恐竜映画を撮るつもりなのだろうか。本作が製作されたのは2006年であるが、「ダイナソークライシス」は1993年の映画である。10年以上も前の、それも大したクオリティでもない恐竜襲撃シーンをこれだけ多くの映画に流用するのは、もはや軽い狂気すら感じてしまう。

 とはいえ、本作は「ジュラシック・シティ」と違い、恐竜の新撮シーンも幾つか用意されている。そのひとつが今時珍しいストップモーション・アニメであるが、これが特撮として優れているかと言えば全くそうでもなく、レイ・ハリーハウゼン師匠が見たら全力でぶん殴ってきそうな絶望的な出といえる。特に、真っ昼間の屋外でのシーンは質の悪い冗談にしか見えない仕上りであり、いくらコーマン品質の映画とはいえ限度というものがある。他にも、アホみたいな出来のティラノのパペットに手をはめて左右に素早く振ってるだけのお人形遊びレベルな特撮が当たり前のように登場したりと、「ジュラシック・パーク」から10年以上経って作られた映画とは思えないショッキングなシーンの連続である。そのおかげで、「ダイナソークライシス」からの流用シーンが登場すると妙に安心して見ていられるという意味の分からない相乗効果まで生みだしているのには笑うしかない。

 ストーリーに関しても何処から突っ込めば良いのか分からない。前述した通り、「ダイ・ハード」のビルをどっかの空き倉庫みたいな研究所に置き換えただけの工夫のない物語の合間にティラノサウルスが檻から脱走する展開なのだが、脱走したティラノ君は街の人間を次々と食い殺したと思ったら、いきなり研究所内に瞬間移動してきて今度はテロリストを襲い出すするとまた外に飛び出していって街の人間をバクバクと補食していくのだが、最後は再び研究所に戻ってきて建物の爆発に巻き込まれて死ぬ襲われる方も襲われる方で、相当なデかさのあるティラノ君の接近に誰も気付かず、目の前まできて「ギャーッ!」となるパターンがほとんどだ。しかも、どいつもこいつも頭だけ綺麗にガブリと持っていかれる。理由は勿論、「ダイナソークライシス」から同じシーンばかりを流用しているからである。これだけ街がパニックになっていても、通報を受けた警察は「はいはい、イタズラ電話はやめてねスピルバーグさんの一点張りで最後まで動かない。恐竜も人間もバカしかいないという恐るべき映画であるが、テロリストのリーダー役であるトニー・トッド兄貴の熱演は流石の一言なので、兄貴のファンなら一見の価値はあるのかもしれない。

 

 

パペットマペットかよ!

 

テロリストのリーダーをトニー・トッドが熱演      

 

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