ヒルコ
妖怪ハンター

監督:塚本晋也

脚本:塚本晋也

原作:諸星大二郎

出演:沢田研ニ、工藤正貴、上野めぐみ、
余貴美子、竹中直人、室田日出男

ストーリー

 異端の学説を唱え、学会を追われた考古学者・稗田礼ニ郎。彼のもとに、田舎の中学教師である亡妻の兄・八部から手紙が届く。校内にある秘められた悪霊封じの古墳が開かれ、ヒルコなる妖怪が地上に現れたという。ヒルコとは、古事記が物語るイサナギ、イザナミの息子・蛭子。稗田は妖怪センサーを手に旅立つ。しかし、八部は教え子の月島礼子と共に失踪していた…。誰もいない学校で、稗田は何者かに襲われそうになった八部の息子・まさおを危機一髪で救う。2人の目の前には次々と首なし死体が現れ…

レビュー

 漫画界のキワモノ・諸星大二郎の原作を映画界のキワモノ・塚本晋也が映像化。キワモノとキワモノ、夢のコラボで生まれた映画は、やっぱり空前絶後のキワモノ映画だった。製作年はコチラの方が先だが、「学校の怪談」の妖怪達がガチで殺しにかかってくる映画だと言えば分かり易いだろう。

 美しい風景の中、少女が笑顔で自転車を漕いで行くオープニング。まるでジブリアニメを実写で見ているかのような爽やかさである。まさか数十分後、妖怪に首チョンパされ生首から蜘蛛の足を生やして走り回ることになるなんて想像も出来ない。この妖怪・ヒルコに襲われた生徒達は例外なく首を切断され(血飛沫も凄い)、その生首も新たな犠牲者を求めて動き出すという「遊星からの物体X」のノリスヘッドとゾンビを足して何も割らないような厄介極まりない存在なのだ。そんな凶悪モンスターに戦いを挑むのが小便臭い中坊と、ゴミにしか見えない対妖怪兵器を構えてニヤついてるような変態男の時点で勝率はゼロといえるが、ヒルコもガムテープとダンボールで作った罠に引っ掛かったり、キンチョールを噴きかけただけで引っくり返るようなドジっコ妖怪なので両者のボンクラ度はドッコイドッコイと云えるだろう。

 ストーリーの面白さも去ることながら、ノリスヘッドに引けを取らないほど生々しい動きを見せるヒルコや、竹中直人の首がブチブチと千切れていくシーンなど、今の時代から見ても見劣りのしない特撮の数々は見事である。また、ヒルコが羽を生やして空を飛ぶような変化を見せたり、同化されかけた老人の男性が猟銃で頭部を吹っ飛ばす悲惨な展開など、ゲーム版「SIREN」に影響を与えたと思われる箇所が存在しているのも興味深い。

 それにしても多くの友人知人が無惨に殺されたのにも関わらず、主人公の中坊が一夏の楽しい冒険を終えたかのように青空を見上げる違和感マックスのエンディングは、まるでジブリアニメを実写で見ているかのような爽やかさであった。数十分前に目の前で父親の首が千切れたことなんて忘却の彼方である。

 

 

男子中学生が妖怪に首チョンパ。ナイス切株!

 

 

キンチョールで戦いを挑む妖怪ハンター

 

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